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論文記事:大都市圏地域の類型化による医療費の地域差要因について 201711-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第64巻第13号 2017年11月

大都市圏地域の類型化による
医療費の地域差要因について

皿谷 麻子(サラガイ アサコ)

目的 本研究は医療費に関連する医療資源,保健活動,居住地環境を示す変数を用いて大都市圏の市をグループ化し,各グループの医療費の差から医療費に影響する要因の違いを分析する。

方法 政府統計調査および日本医師会が公表している市町村別データから,医療資源,保健活動,居住地環境を示す変数を用いて,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,福岡県の市に対し,階層的クラスター分析によるグループ化を行い,各グループの医療費の差を分散分析する。

結果 大都市圏の市は5つのグループに分類できた。各グループの医療費の平均値は年齢構成を調整した地域差指標でみても入院,入院外ともに1人当たり医療費には有意差はみられなかったが,1日当たり医療費(医療費/診療日数)でみると入院,外来ともに有意差が認められ,医療機関へのアクセシビリティ変数が高いグループ,大病院変数が高いグループでは入院医療費が高く,保健衛生費が高いグループでは外来医療費が高い傾向を示した。また,1件当たりの診療日数でも入院,外来ともに有意差が認められ,入院日数は1日当たりの入院医療費が平均値よりも低いグループの方が高いグループよりも日数が長かった。

結論 大都市圏における医療費の地域差は,医療費の単価(1日当たりの診療費)に存在し,居住環境と保健活動の投入資源によって医療費の単価に影響する要因は異なっていることが明らかになった。1日当たりの入院医療費は,入院医療サービスの供給量よりもむしろ居住地から医療機関までの距離や大病院数が関係し,1日当たりの外来医療費では,保健活動が入院医療に代替している可能性が示唆された。

キーワード 医療費,地域差,大都市圏,クラスター分析

 

 

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