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論文記事:医師確保計画における医師少数スポットの実態:無医地区との関係の検討 202108-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第68巻第8号 2021年8月

医師確保計画における
医師少数スポットの実態:無医地区との関係の検討

寺裏 寛之(テラウラ ヒロユキ) 小谷 和彦(コタニ カズヒコ)
 野原 康弘(ノハラ ヤスヒロ) 小池 創一(コイケ ソウイチ)

目的 日本の医師偏在対策の一つとして,都道府県は2020年度から医師確保計画を策定した。この計画では,医師確保に重点を置く地域として,各都道府県の二次医療圏よりも小さい単位で,局所的に医師が少ないとみなされる医師少数スポットが設定された。一方で,へき地を中心に無医地区は,医師確保策の一つとして以前から設定されている。医師少数スポットと無医地区の設定には,都道府県の実状や方針が反映される。本研究は,各都道府県の医師少数スポットの実態および無医地区との関係を観察した。

方法 各都道府県のホームページに公開されている医師確保計画の文書を収集し,医師少数スポットに関する記載を分析した。無医地区は平成26年度無医地区等調査結果を使用した。その面積は境界不明確な地区があり,地区の中心から半径4㎞の円の面積(50.3㎢)と一致すると仮定した。

結果 全都道府県の医師確保計画(47文書)が得られた。医師少数スポットを設定したのは26(55.3%)の都道府県であり,総数で313の医師少数スポットがあった。医師少数スポットの設定は市町村全域である場合が最多(103地域[32.9%])であった。都道府県の医師少数スポット数と無医地区数の中央値(四分位範囲)はそれぞれ15.0(10.0-25.0),20.0(14.0-38.0)で,医師少数スポット数の方が有意に小さかった(P<0.01)。医師少数スポットと無医地区とでは,地域の面積の中央値(四分位範囲)はそれぞれ69.0(44.4-189.5)㎢,50.3(50.3-50.3;無医地区の面積は一律と仮定した)㎢であり,医師少数スポットの方が有意に大きかった(P<0.01)。医師少数スポットと無医地区との重なりを分類したところ,両者が重複しない方が最多(245[78.3%])で,ほぼ重なって無医地区を包含する型が次いだ(43[13.7%])。

結論 医師少数スポットは,過半数の都道府県で設定され,その多くは無医地区を有さない市町村全域に設定されていた。無医地区と重複するような,都道府県独自の設定も認められた。

キーワード 医師少数スポット,医師確保,医師偏在,無医地区

 

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