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論文記事:小児任意予防接種における未接種者の出生順位別の特性について 201501-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第1号 2015年1月

小児任意予防接種における未接種者の出生順位別の特性について

津田 侑子(ツダ ユウコ) 渡辺 美鈴(ワタナベ ミスズ) 谷本 芳美(タニモト ヨシミ)
藤田 愛子(フジタ アイコ) 中津留 有子(ナカツル ユウコ) 河野 公一(コウノ コウイチ)
小坂 美也子(コサカ ミヤコ) 髙栁 香里(タカヤナギ カオリ) 玉置 淳子(タマキ ジュンコ)

目的 任意予防接種行動に影響を与える因子を検討するために,児の出生順位に注目し,出生順位別にみた「受けない理由」などを明らかにすることを目的とした。

方法 2011年7~12月にかけて,大阪府高槻市に在住する1歳6カ月健診を受診する子ども1,477人の保護者を対象に,アンケート調査を実施した。質問項目は,基本属性,保護者の定期および任意予防接種に対する認知度,接種状況,ワクチン情報の入手経路,受けない理由等とした。

結果 回収した1,172部(回収率79.4%)のうち,回答者の続柄の記載がない5部を除いた1,167部を解析対象とした。対象者全体(n=1,167)における定期,任意の予防接種の認知度と接種率を明らかにした後,「未接種者」群(n=503)に対して児の出生順位別に集計した。任意予防接種を受けない理由は,出生順位に関わらず,「費用がかかる48.3%」「副反応が心配39.0%」が上位を占めていた。第1子では「副反応が心配」「予防接種の知識が少なく不安」など,予防接種そのものに対する不安感があった。第3子以上では「打っても病気にかかる」「自然感染によって抵抗力をつけていくものだと思う」など経験によるものが受けない理由となっていた。情報源として,家族や友人は出生順位に関わらず,情報源の第1位であった。より正確な情報源として母子健康手帳や予防接種手帳,保健師からの情報などが考えられるが,本研究では,母子健康手帳29.2%,予防接種手帳25.4%であり,乳幼児健診時に保健師,保健師等の家庭訪問はいずれも1.2%と著明に低かった。第1子では育児本,第2子ではテレビ,ポスター・ちらし,第3子以上では,かかりつけ小児科,ポスター・ちらしが多かった。

結論 本研究において,未接種理由の第一は費用であったが,それ以下の理由は,出生順位によって異なっていた。しかし,どの群においても,適正な情報が得られていないことが未接種行動の原因と考えられる。任意予防接種の接種率向上のためには,予防接種の費用補助と共に,母子健康手帳や予防接種手帳に任意予防接種の情報を記載すること,さらに,各種の保健活動において,専門職である保健師が積極的に介入することが必要と考える。

キーワード 任意予防接種,予防接種率,小児,出生順位,未接種理由

 

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