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論文記事:男性勤労者における身体活動と環境要因との関連 201501-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第1号 2015年1月

男性勤労者における身体活動と環境要因との関連

河原 賢二(カワハラ ケンジ) 萩 裕美子(ハギ ユミコ) 久保田 晃生(クボタ アキオ)

目的 本研究は男性勤労者を対象に,健康づくりで推奨される身体活動の実施と環境要因との関連を検討し,勤労者における身体活動推進のための資料を得ることを目的とした。

方法 静岡県内のN社K製造所で,本研究に協力の得られた男性勤労者を対象者とした。質問紙調査で身体活動の状況,対象者の自宅周辺の環境,基本属性を調査した。身体活動の状況は国際標準化身体活動質問紙(International Physical Activity Questionnaire:IPAQ)短縮版を用いた。対象者の自宅周辺の環境は,国際標準化身体活動質問紙環境尺度(International Physical Activity Questionnaire Environmental Module:IPAQ-E)を用いた。また,基本属性は年齢,身長,体重,配偶者,同居,雇用形態,勤務形態,役職,教育年数,主観的健康観,生活満足度を調査した。統計解析は,ロジスティック回帰分析を用いて,個人の特性を調整し,推奨される23METs×時/週以上の身体活動量を満たすことに関連する環境要因のオッズ比および95%信頼区間を算出した。

結果 調査の協力を得られた810名のうち,調査項目に欠損値が1つでもあった294名を除いた516名を分析対象者とした。516名の分析対象者のうち,1週間の身体活動量が23METs×時以上の者は218名(42.2%)であった。23METs×時以上の身体活動量と関連が認められた環境要因は,自宅周辺の景観が好ましいことであった(オッズ比1.83,95%信頼区間1.21-2.77)。

考察 本研究の結果,自宅周辺の景観が好ましいことが,勤労者における健康づくりのための身体活動基準2013が推奨する身体活動の実施と関連した。これは,国内外の多くの先行研究と一致した。先行研究では,景観が余暇における歩行や総身体活動と関連した報告が多く,街の景観を良くすることが勤労者における身体活動の推進に貢献する可能性が示唆された。しかし,本研究は横断研究であること,調査項目が質問紙による主観的な評価であるなどの限界があり,縦断研究や客観的な指標による評価など,さらなる研究が必要である。

キーワード 勤労者,身体活動,環境要因,景観

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