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論文記事:地域における要援護者見守りネットワーク構築の研究 201603-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第3号 2016年3月

地域における要援護者見守りネットワーク構築の研究

-支援を求めない「セルフネグレクト」等への支援アプローチを焦点に-
斉藤 千鶴(サイトウ チヅル)

目的 本論文では,「孤立化」「孤立死」に陥りやすいといわれる「セルフネグレクト」等(支援拒否者)への地域支援者による支援アプローチの手がかりを探ることを目的とし,地域における要援護者見守りネットワーク構築のための基礎資料を得ることを目的としている。

方法 阪神・淡路大震災以降,単身高齢者等の要援護者見守り活動において先進的な取り組みを実践しているA市において,「地域包括支援センター」と,高齢者が多く居住する公営住宅の空き室を利用した,地域包括支援センターのブランチ的役割の「見守りひろば」に配置された「見守り推進員」130人全員を対象に,「要援護者」あるいは「要援護者予備軍」の発見や,「支援拒否者」(「セルフネグレクト」と思われる対象者を含む)への関わりやアプローチ,介入の工夫等を中心として日常の支援活動に関して,郵送配布による自記式質問紙調査を行った。調査期間は,2013年11月1日から同月末日までである。

結果 調査票130件の郵送配布に対して,83件(うち,白票1件)の有効返送があり,有効回収率は63.1%であった。支援が困難な人に対する関わり方や支援の方法・アプローチとして,「気長に訪問」「嫌がられ,怒鳴られながら何度も訪問」「本人の負担にならない声掛け」「チラシをポスティング,常にあなたの事を気にかけていることをさりげなく知らせる」「何かあれば相談できる人がいる事をアピールし続ける」などがあげられた。

結論 「セルフネグレクト」等(支援拒否者)へのアプローチの手がかりを得るためには,地域支援を担当する直接の当事者だけでなく,地域住民(民生委員,自治会等)や彼らと関係を持つ社会資源(病院,店等)と連携して対応することで,有効な支援が実施できることが調査より明らかになった。とりわけ,支援を求めない「セルフネグレクト」等への支援開発には,支援担当者は,地域住民との関わりによって,相談しやすい環境づくりをし,迅速な対応ができるようなネットワークづくりに普段から心がけることが重要である。関係者の地道な努力と,地域住民と専門機関・専門職の連携の重要性が明らかになった。

キーワード セルフネグレクト,支援拒否,孤立死,支援アプローチ,見守り推進員,要援護者見守りネットワーク

 

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