家族の介護意識と要介護者の自己決定阻害の関係に関する研究

−高齢者虐待の予防に向けて−

 

アンメ トキエ スズキ エイコ

安梅 勅江 鈴木 英子

 

目的 高齢者虐待の予防のため,要介護者の自己決定阻害に焦点をあて,住民の介護意識,要介護者の自己決定阻害に関する意識および両者の関連を明らかにすることを目的とした。

方法 平成12年に中部地方の大都市近郊の農村Sに在住する20歳以上の全住民を対象に質問紙調査を実施し,2,998名(有効回答率84.7%)から回答を得た。調査内容は,要介護者の自己決定の阻害に関連する意識と考えられる3項目(要介護者は「家族の意見に従うべき」「我慢すべき」「自己主張すべきでない」),介護意識4項目(「介護受容」「家族介護負担感」「世間体意識」「家族優先意識」),属性,介護の要不要,家族内の要介護者の有無,身体症状,入院・通院歴,日常生活動作能力,社会関連性,体力イメージ,サービス満足度,過去1年間のライフイベントであった。

結果 1)年齢・性別,要介護者の有無別,介護状態別に分析した結果,自己決定の阻害に関連する意識の割合は高年齢世代,介護経験あり,世間体を気にする場合に多くなっていた。2)自己決定の阻害に関連する意識を目的変数とし,多重ロジスティック回帰分析を行った結果,いずれも「介護受容」「世間体意識」「家族介護負担感」「家族優先意識」のある場合に,ない場合に比較して要介護者は「家族の意見に従うべき」「我慢すべき」「自己主張すべきでない」とするオッズ比が高くなっていた。

結論 すべての地域住民を対象とした要介護者の自己決定を尊重するための啓発や,介護負担を軽減するためのサポート,介護の理解を深めるための情報提供や教育などが,地域における虐待リスクの軽減に有効である可能性が示唆された。

キーワード 高齢者虐待,自己決定,家族介護,予防