居住費・食費の負担の見直しによる介護保険3施設への影響

−介護保険給付費実態調査月報から−

 

ハヤシバラ ヨシミ タミヤ ナナコ タカハシ ヒデト

林原 好美 田宮 菜奈子 高橋 秀人

カシワギ マサヨ オオクボ イチロウ

柏木 聖代 大久保 一郎

 

目的 2005年10月に介護保険制度の施設給付の見直しとして実施された,居住費・食費の自己負担化が介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養型医療施設(以下,介護保険3施設)施設数および入所利用人数に対してどの程度,影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的とした。

方法 厚生労働省が公表している介護給付費実態調査月報の2002年4月から2006年3月までの48カ月分のデータを用い,介護保険3施設それぞれにおける施設数,利用人数と1施設当たり平均利用人数を経時的に図示し,その傾向をみた。その上で,見直し前24カ月のデータから,見直し後の6カ月を予測し,実測値との差を検討することで見直し前後に有意な変化があったかどうかを検討した。

結果 施設給付の見直し前後で有意な減少があったのは,介護療養型医療施設の施設数と利用人数のみであった。さらにこの減少を利用人数の介護度別でみた結果,介護度5の利用人数が有意に減少していた。介護療養型医療施設において減少した利用者の行き先としては,医療療養型医療施設の可能性が示唆された。介護給付費実態調査は月報であり,本データによる分析では介護老人福祉施設,介護老人保健施設の利用人数に有意な減少は認められなかったが,実際にはこの2つの介護保険施設においても退所者が存在していたことが報告されている。介護老人福祉施設,介護老人保健施設では,今回の見直しにより退所者が発生したが,すぐに利用者が入所したことにより利用者人数に変化がみられなかった可能性が考えられる。

結論 施設給付の見直し前後における施設数と利用人数の変化をみることで,居住費・食費の自己負担化が介護療養型医療施設の施設数と利用人数,特に介護度5の利用人数減少の影響を与えていたことが明らかになった。

キーワード 介護保険制度,施設給付,介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養型医療施設