要介護高齢者の息子による虐待の要因と多発の背景

 

ウエダ テルコ ミヤケ マリ ニシヤマ トシマサ タジカ アラン アライ ユミコ

上田 照子 三宅 真理 西山 利正 田近 亜蘭 荒井 由美子

 

目的 息子による高齢者介護の実態と虐待の背景要因を明らかにし,近年の多発の背景について検討する。

方法 調査は大阪府A市の居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下,ケアマネ)94人を回答者とし,ケアマネの担当している利用者の主介護者である息子のすべてと介護家族による虐待ケースを対象として質問紙法により行った。67人の回答(回収率71.3%)を得,60人の回答を有効回答とした。これらのケアマネが担当している利用者総数は1,279人であった。別に,ケアマネ4名と,訪問介護員10名を対象として,息子による介護の特徴と関わりの難しさ,必要と考えられる支援等について各々約90分のグループインタビューを行った。

結果 主介護者の構成割合は息子が11.1%を占めていた。息子の56.3%が独身であった。虐待のみられたケースは主介護息子142人中27人で息子以外の家族では37ケースであった。断面での主介護家族数に対する虐待数の割合(以下,出現率)は主介護息子では19.0%であり,息子以外の家族による出現率に比較して高率であった。虐待の有無と高齢者の属性,息子の属性,介護環境等との関連を検討した結果,「要介護度が高い」「認知症による日常生活自立度が低い」「息子との人間関係が悪い」「近隣との交流がない」,息子が「独身である」「経済状態が苦しい」「自己中心的である」「怠惰である」「親への依存がある」「介護の協力者がいない」「介護知識・技術が不十分である」「介護負担感が大きい」介護者になった経緯が,「高齢者の希望ではない」などにおいて虐待が有意に高率であった。

結論 在宅の要介護高齢者における虐待は息子において高率であった。息子において虐待が高率である背景には,息子ゆえの介護環境条件があり,これらが虐待のリスクを高くしていることが示唆された。息子における虐待の予防には,息子特有の介護環境条件に配慮した施策や支援が求められる。

キーワード 高齢者虐待,要介護高齢者,虐待の要因,家族介護者,息子