医師の勤務条件および職場環境に関する病院勤務医の意向調査
ニイノ ヨシコ イシバシ ヨウジロウ サノ ヒロシ クボ ノリユキ
新野 由子 石橋 洋次郎 佐野 洋史 久保 統敬
目的 平成19年度から「緊急医師確保対策」への取り組みが行われ,医学部定員が拡大されている。しかし,平成16年から始まった医師臨床研修制度や平成11年に横浜市大での医療事故以後,医療を取り巻く環境に大きな変化が起こり,医師の意識も年代ごとに大きく違いがあると考えられる。そのため,医師偏在の現状と対策,勤務条件・職場環境,職場選択要因についての考え方を把握し,それぞれに関して世代間の違いの検証も行い,医師の偏在への対策を検討する上での基礎資料とすることを目的とした。
方法 臨床研修病院130病院に調査協力を依頼し,そのうち応諾いただいた26病院に所属する勤務医と研修医を対象にアンケート調査を行った。調査内容は,対象者の基本属性(年齢,性別など),現状あるいは偏在対策に対する考え方,妥当と考える派遣年数等,勤務条件に対する希望や許容の範囲,職場環境についての考え方とし,検定を行った。
結果 コメディカルとの協働に関してはすべての年齢層の80%以上が「コメディカルも積極的に意見を言えるような職場環境が良い」という項目にやや近いと回答している。ワーク・ライフ・バランスへの配慮に関しては,若い医師ほど「仕事と家庭が両立出来てこそ医師としてよい仕事が出来ると思う」を選択しており有意に高かった。中堅医師の開業による医師不足対策では,「医師数を増やして余裕のある勤務体制にする」「中堅勤務医の給与を引き上げる」を選択している者が多く,「チーム医療により個人の負担を軽減する」「シフト勤務等導入による連続勤務時間短縮」という回答が若手医師で有意に高く,特に産科や小児科など夜間も昼間と同様に忙しい診療科ではこのようなシフト勤務への取り組みも対策の1つとして考えられる。
結論 勤務医は,へき地への派遣にはローテーション勤務の確立が望ましいと考え,臨床現場においては,シフト勤務,女性医師が産休・育休も取れる体制,訴訟リスクの低減を必要としていることが明らかになった。
キーワード 病院勤務医,職場環境,勤務条件,対策