市町村合併が保健(師)活動に及ぼす影響の評価と今後の課題
−合併有無別の分析から−
マスモト タエコ ツヅキ チカゲ イクタ ケイコ
桝本 妙子 都筑 千景 生田 惠子
ヒラノ カヨコ イシカワ キミコ エボシダ アキラ
平野 かよ子 石川 貴美子 烏帽子田 彰
目的 2006年11月,全国1,840市町村(特別区を除く)を対象に行った質問紙調査をもとに,合併が保健(師)活動に及ぼす影響と課題を横断的,数量的に分析した。
方法 事前に電話で協力を依頼し,了解の得られた974市町村の保健活動の責任者(保健師)に郵送で調査票を配布し,記名により郵送で回収した(回収率52.9%)。調査内容は,人口,合併の有無,保健師の確保状況,地区活動に配慮の必要な地区の有無,高齢者保健福祉業務における介護部署および国保部署との連携,新市町村の計画策定状況,行政評価の実施状況,健康指標の把握状況である。分析対象は,合併市町村329に対応して非合併市町村337を人口規模別にマッチングして,合計666市町村とした。
結果 保健師の確保状況では,「十分・ほぼ確保できている」は合併36.6%,非合併22.6%であった。特別配慮の必要な地区「あり」は,合併44.8%,非合併15.5%で,その内訳は,合併市町村の方が山間部・豪雪地が多かった。高齢者保健福祉業務に関する介護部署との連携では,合併市町村の方が企画または評価まで含めて一体的に推進しているところがやや多かった。国保部署との連携では,「実施において一部共同で行っている」は合併51.4%,非合併44.5%と,合併市町村の方が多かった。新市町村の計画策定について「策定済み」は合併20〜90%に対し,非合併が50〜90%と,すべての計画において合併市町村が少なかった。行政評価の実施状況では,「毎年実施している」は,合併50.0%,非合併61.4%で,非合併市町村の方が有意に多かった。健康指標の把握率は,合併,非合併による差はなかった。
結語 合併市町村では,当面はマンパワーが強化され充実した活動が可能であると考えられる。しかし,合併後年数を経るにしたがい支所等への保健師の配置数は削減され,保健担当課以外の部署への分散配置もすすめられていくと考えられる。地域の特性を保健師業務に反映させていくためには,地区分担と業務分担を併用した活動が望ましいと考える。また,今後は,高齢者保健福祉業務に関する介護部署,国保部署との連携をさらに円滑にすすめていける体制づくりが重要になると思われる。合併は市町村の計画策定と行政評価を停滞させていることを伺わせ,早急な地方計画策定および行政評価が課題である。
キーワード 市町村合併,保健(師)活動,影響評価