東京都区部における単身・複数世帯別自殺死亡率

 

カナワク ヨシマサ タニフジ タカノブ アベ ノブユキ

金涌 佳雅 谷藤 隆信 阿部 伸幸

モリ シンジロウ シゲタ アキオ フクナガ タツシゲ スズキ ケイコ

森 晋二郎 重田 聡男 福永 龍繁 鈴木 恵子

 

目的 自殺予防対策の一環として,個人の重要な社会的背景の1つである世帯状況,特に単身および複数世帯の違いに視点を当てた調査を行った。

調査方法 平成2年以降の国勢調査実施年(平成2年,7年,12年,17年)における東京都特別区内の都民の自殺者を男女とも単数・複数世帯の計4群に区分し,年齢階級別粗死亡率(人口10万人対),粗死亡率の性比・性差,および年齢調整死亡率,自殺死亡標準化死亡比を算出した。

結果 自殺者数では4群の中でいずれの代表年も複数世帯の男性が多かった。また,平成7年から12年の間に4群いずれも大きく増加していたが,単数・複数世帯とも女性に比べ男性の方が増加率は高かった。年齢階級別自殺数でみると,男性においては単身・複数世帯とも50歳代を中心にその前後5歳を含めた年齢層におおむねピークが認められた。平成17年における年齢階級別死亡率は,40歳代後半から60歳代の単身世帯の男性に特に高い傾向がみられた。死亡率性比では単身および複数世帯とも男性に高く,特に平成17年では性比で3倍となっていた。標準化死亡比をみると単身世帯の男性では,全国平均と比して有意に高く,複数世帯の男女ではおおむね低かった。

結論 40歳代後半から60歳代の単身世帯の男性は,その他の3つの世帯群よりも明らかに自殺のリスクが高く,このことが男性の単身世帯者全体の自殺死亡率上昇の原因にもなっていることが示された。東京都区部における自殺対策においては,全年齢層への一般的な予防活動と合わせ,40歳代後半から60歳代の単身世帯の男性に重きを置いた調査・対策をとることも効果的であろうと考えられた。

キーワード 自殺統計,世帯,東京都特別区