在宅要支援・要介護1認定者における介護保険サービス利用の介護度悪化防止への効果に関する分析
マツモト タカコ ネコダ ヤストシ
松本 たか子 猫田 泰敏
目的 本研究は,高齢者の自立支援を基本理念とする介護保険制度で軽度認定を受けた在宅高齢者の第1回更新月1カ月分の介護保険サービス利用による,第1回更新時から第2回更新時までの介護度の悪化防止への効果について分析した。
方法 調査対象地域は,65歳以上の人口割合が全国値に近似し,介護保険法に基づく介護保険サービスの全種類の利用可能な東京都B区を選定した。自治体の既存の介護保険データを用い,2003年度に新規申請を行い,初回認定時および第1回更新時に要支援・要介護1の認定を受けた第1号被保険者456人を調査対象とした。調査項目は,性別,第1回更新申請時の年齢,新規時および第1回・第2回更新時の介護度,第1回・第2回更新年月日,第1回更新月1カ月分のすべての介護保険サービスの利用状況とした。第1回更新時から第2回更新時までの介護度の変化と調査対象の特性,サービス利用状況との関連について分析した。
結果 第1回更新時から第2回更新時までに介護度が悪化した者は61名(13.4%)であった。調査対象の特性と介護度の変化の間には有意な関連は認められなかった。個別の介護保険サービスの利用状況と介護度の変化の分析の結果,訪問介護の利用者において月6回以上の利用者のオッズ比が0.37(0.17〜0.84)と悪化防止への影響が認められた。また,通所介護では月1〜5回の利用者でオッズ比が2.74(1.15〜6.53)と逆に悪化することが示された。多重ロジスティック分析の結果も同様であった。
結論 自立可能性が高い軽度認定者に対する在宅高齢者の介護保険サービスのうち,訪問介護の提供が有効であることが示された。このことから,対象者の生活や疾病などの個別性を踏まえたサービスの提供が必要であることが重要と考えられた。通所介護については,現在の実施のあり方に検討すべき点があることを示唆するものと考えられた。
キーワード 介護保険制度,在宅高齢者,要支援・要介護1,介護度の変化,介護保険サービス