青年勤労者における抑うつ状態と体力との関連

 

クボタ アキオ ハラダ カズヒロ ササイ ヒロユキ

久保田 晃生 原田 和弘 笹井 浩行

カイ ユウコ タカミ キョウタ

甲斐 裕子 高見 京太

 

目的 本研究は職域の青年期を対象に抑うつ状態と体力との関連を検討し,職域におけるメンタルヘルスの向上を効果的に推進するための基礎的資料を得ることを目的とする。

方法 静岡県内のN社K製造所で,本研究に協力の得られた20歳代,30歳代の男性288人を対象とした。この内,「解析項目に1つでも欠損値がある」「体力項目のいずれかに平均値+標準偏差×3以上の値がある」「CES-Dで逆転項目の回答が不十分である」75人を除いた213人を解析対象者とした。体力は握力と長座体前屈,反復横とび,上体起こし,立ち幅とびを測定した。質問紙調査では,自記式の推定最大酸素摂取量,Center for Epidemiologic Studies Depression ScaleCES-D)日本語版,International Physical Activity QuestionnaireIPAQ)日本語版Short Versionのほか,年齢,配偶者,学歴,睡眠時間,夜勤,喫煙習慣,飲酒習慣,現病歴の状況を把握した。また,同時期の健診結果からBMIを把握した。解析は,CES-D得点から2群(16点以上の抑うつ群と16点未満の非抑うつ群)に分け,体力測定,質問紙調査の結果をMann-Whitney U検定,χ2検定で比較した。抑うつの有無(抑うつ群=1,非抑うつ群=0)を目的変数,各体力項目を説明変数,各交絡因子を調整変数としたロジスティック回帰分析を施し,抑うつ状態と体力との関連を検討した。

結果 全体のCES-D得点は15.3±8.1点(平均値±標準偏差)で,抑うつ群は88人(41.3%)であった。抑うつ群と非抑うつ群の比較では,年齢,配偶者,夜勤,BMI,立ち幅とび,上体起こしで有意差が認められた(p<0.05)。立ち幅とび,上体起こし以外の体力項目は,有意差は認められなかったが,抑うつ群の方が非抑うつ群よりも低い値を示した。ロジスティック回帰分析では,立ち幅とび(1標準偏差上昇に対するオッズ比0.5795%信頼区間0.410.80),推定最大酸素摂取量(0.580.390.86),上体起こし(0.720.530.97),握力(0.730.540.99)が有意な関連を示した(p<0.05)。

結論 本研究の結果,抑うつ状態と体力を構成する要素である筋力(握力)と筋持久力(上体起こし),筋パワー(立ち幅とび),持久力(推定最大酸素摂取量)が関連し,体力を向上させることが,抑うつ予防につながる可能性が考えられた。しかし,本研究は横断的研究であり,抑うつ状態と体力との因果関係は断言できない。今後,縦断的研究が望まれる。

キーワード 抑うつ状態,CES-D,体力,身体活動量,青年期,勤労者