アフガニスタンにおける

ポリオ根絶プログラムの成果と展望  

タカ ノ タケヒト

高野 健人 シャフィクラ ヘマット

 

目的 アフガニスタンにおけるポリオ根絶プログラムの成果を評価し,今後の地域における予防接種の一層の普及のために,経口ポリオウイルスワクチン(OPV)接種率の地理的分布を分析し,実際に世帯訪問調査を行い,予防接種の促進要因を明らかにする。

方法 アフガニスタン公衆衛生省EPI事務所,WHOUNICEFの調査による予防接種記録,2002年国勢調査結果,および地理情報データベースに基づき331地区の保健医療地理情報データベースを構築し,OPV3回接種について分析した。また急性弛緩性麻痺サーベイランスデータより,ポリオ診断確定数の変化を分析した。カブール県において,1,400世帯を対象とした世帯訪問調査を2006年に行い,ポリオ予防接種歴と,健康状態,社会経済要因,生活環境要因,ならびに保健医療サービスへのアクセスなどについてデータベースを作成し,予防接種の促進要因を分析した。

結果 アフガニスタンにおけるOPV3回接種率は向上しており,地理的分布も広がっている。また,ポリオ確定診断ケースも激減しており,地域的に限局化している。また,カブール世帯訪問調査結果から,OPV3回以上接種率は,年齢に従って増加し,それぞれ,44.8%(1歳未満),62.7%(1歳),60.4%(2歳),64.1%(3歳),68.8%(4歳)であった。また,統計的に有意な予防接種の促進要因は,アウトリーチ活動チームによる家庭訪問,予防接種の健康教育,医療施設分娩,妊婦健診,医療施設までの地理的利便性であることが示された。なお背景として,社会経済要因の影響も統計的に有意であった。

結語 アフガニスタンのポリオワクチン接種率は,目標接種率には到達していないが,近年急速に向上している。目標接種率に到達するためには,地域格差,特に,低接種率地区における予防接種活動の課題への対応が不可欠となる。ポリオの根絶に向けて,地域の安定を含む社会経済条件の向上を図る様々な支援プログラムとの連携をはかり,アウトリーチ型の活動の一層の展開,健康教育の拡充,医療施設分娩の機会拡大,妊婦検診の普及などを包括的に推進することにより,一層の予防接種の普及が図られるものと考えられる。

キーワード アフガニスタン,ポリオ,予防接種,EPI,地域保健