精神障害者の就労支援におけるQOLの変化

SF_36v2日本語版を用いて−

 

タテイシ ヒロアキ

立石 宏昭

 

目的 「個別職業紹介とサポートによる援助付き雇用プログラム(Individual Placement Support ProgramIPS)」の考え方を取り入れた訪問型個別就労支援の実践を通して,就労支援とQOLの関係を明らかにすることである。

方法 精神障害者地域活動支援センターの利用者73人に対して,S1(就労準備),S2(求職活動),S3(フォローアップ),S4(保留・終了)という就労支援のターニングポイントを設け,「SF-36v2日本語版(振り返り期間が1カ月間)」によるQOLの変化を測定した。調査期間は,2006年4月から2008年3月までの2年間である。分析は,SF-36v236項目の設問に0〜100点をスコアリングし,「国民標準値(Norm Based Scoring: NBS)」と比較した。また,SF-36v2の下位尺度に重みづけをしたあと,「身体的健康度をあらわすサマリースコア(Physical Component Summary: PCS)」と「精神的健康をあらわすサマリースコア(Mental Component Summary:MCS)」の変化を探った。さらに,各ステージの特性値に対する因子の影響を知るため,反復測定による一元配置分散分析および多重比較を行った。

結果 S1(就労準備)のPCS(−3.6),MCS(−4.0)は,ともにNBSを下回り,就労を目指す段階ではQOLは低下していた。しかし,S2(求職活動)では,S1を上回り,S3(フォローアップ)になると,PCS0.8),MCS3.5)はNBSを上回るほど高い数値を示していた。さらに,S3(3カ月)では,PCS4.3)はNBSを大きく上回り,身体的健康度が高くなっていた。しかし,S3(6カ月)を過ぎるころから,PCS3.7),MCS2.3)の低下が始まり,S318カ月)になると,PCS(−1.3,MCS(−0.1)はNBSを下回っていた。つまり,各ステージにより利用者のQOLに変化が見られた。また,反復測定による一元配置分散分析および多重比較を行ったところ,@S1S3,AS1S3(3カ月),BS1S3(6カ月),CS2S3,DS2S3(6カ月)の群間で有意差を確認することができた(F値6.425,p<0.000)。

結論 就労支援を始めて18カ月当たりに就労継続を図るためのターニングポイントがあった。

キーワード 精神障害者,就労支援,SF-36v2QOL,地域活動支援センター