二次医療圏別平均寿命による健康指標の開発

 

ワカバヤシ       シンムラ  ヒロミ  カトウ トモコ

若林 チヒロ 新村 洋未 加藤 朋子

カワシマ  ミチコ   オジマ トシユキ ヤナガワ ヒロシ

川島 美知子 尾島 俊之 柳川 洋

 

目的 平均寿命は,地域の健康水準とそれに影響を及ぼす保健医療福祉政策を評価する最も適切な指標であり,都道府県単位と市区町村単位で公表されている。しかし,保健医療福祉政策の効果を評価するには,都道府県単位では広域すぎて地域ごとの評価指標としては適切ではないし,市区町村単位では単位ごとの人口規模が数百から数十万の範囲にまたがるためにばらつきが大きく信頼度に問題がある。医療サービスは二次医療圏単位で供給されており,保健医療福祉政策を評価するためには,二次医療圏単位の平均寿命による評価が必要である。そこで本研究では,市区町村単位で公表されている平均寿命を基にして,二次医療圏単位の平均寿命を計算し,その分布を観察する。さらに,二次医療圏別平均寿命を用いた解析の例として,性別に老年人口割合との関連を検討した。

方法 2005年性別市区町村別平均寿命(20061231日現在の市区町村区分)と2005年国勢調査人口(200510月1日現在の市区町村区分)から,市町村合併前後の対応表を用いて,20061231日現在の市町村区分に統一したデータベースを作成する。二次医療圏の分類は「医療施設調査」(200610月1日の分類)より引用し,200610月1日と1231日の市町村区分の相違を確認したうえで,20061231日現在の二次医療圏分類を作成した。これらを元に,人口規模を考慮した二次医療圏別平均寿命を性別に算出した。二次医療圏別平均寿命について分布の特性を観察し,地域の基本的な背景として老年人口割合との相関を観察した。

結果 二次医療圏別平均寿命は,男性78.50±0.92歳,女性85.75±0.59歳で,男女の相関はr=0.677であった。二次医療圏単位の平均寿命は,老年人口割合との間には,男性は負の相関(r=−0.440)があったが,女性は相関がなかった(r=−0.037)。

結論 市区町村別平均寿命を元に二次医療圏別平均寿命を算出し,分布と老年人口割合との関係を観察したところ,男性の方が二次医療圏別の差異が大きく,男性では都市化との関連がみられたが,女性では関連がみられず,就労形態,居住地,職業選択や保健医療福祉サービスとの関連が伺われた。二次医療圏別平均寿命は,他の社会経済指標および医療供給指標との関連を観察することで,幅広い公衆衛生活動の評価指標として利用できる。市区町村別平均寿命は5年ごとに公表されるので,5年後の指標も作成し,地域における健康水準の推移を観察する予定である。

キーワード 平均寿命,二次医療圏,健康指標,保健医療福祉政策,地域格差