保健所の権限および組織からみた健康危機管理にふさわしい組織のあり方に関する研究

 

フジモト シンイチ イシカワ キミコ

藤本 眞一 石川 貴美子

 

目的 「保健所」の様々な役割のうち,健康危機管理機能に着目して,地方自治体により福祉事務所との統合組織を構築されたことによる様々な形態となっている組織と,地方自治体の首長から委任されている権限を分析した。都道府県立保健所については,筆者らの先行研究があるので,今回は市・特別区立保健所について分析を行った。

方法 保健所設置市区の保健所を含む統合組織の実態と,健康危機管理を含む保健所等に委任された権限を平成1811月現在で調査・分析した。統合組織の分析は各自治体のホーム・ページおよび全国所長会の名簿等を参考とした。また保健所に委任される権限は,衛生・環境に関係する法令について,保健所,あるいは保健所を含んだ統合組織,保健所を含まないその他の組織への委任に分けて分析を行った。

結果 保健所組織については市区が設置するものは140カ所であったが,政令指定都市以外の設置する市区保健所は全て統合化されておらず,また全体としても単独設置が大半であった。また権限委任については,82市区中3市は委任が皆無であり,1市はほとんど委任されていなかった。他の78市区において,健康危機管理に関する権限の委任割合は都道府県よりも少なかった。委任の内容は自治体により様々であった。

結論 保健所組織,権限とも様々な形態が観察された。地方分権としての首長の自由裁量と,保健所の本来果たすべき役割の法的位置づけを,さらに整理して,法定化していく必要がある。

キーワード 保健所,健康危機管理,地方分権,統合組織,権限