日本人渡航者における黄熱予防対策の状況

 

コイケ エリカ ニシカワ ユイ クボ ルカ

小池 絵梨香 西川 幸位 久保 瑠華

フクオカ ケンジ モリオカ イクハル

福岡 賢治 森岡 郁晴

 

目的 本研究では,日本人渡航者が,黄熱の予防接種時に黄熱に対する基本的知識,渡航先の流行の有無,帰国後に黄熱の発症を疑うときの対処法などについての情報収集ができているかを明らかにし,日本人渡航者の感染症対策について検討することを目的とした。

方法 対象者は,2008年6月〜9月に,黄熱の予防接種を受けるため関西国際空港検疫所に来所した日本人渡航者とした。自記式質問票の調査内容は,渡航先,渡航目的,滞在期間,予防接種の必要性を知りえた情報源,黄熱に対する基本的な知識(症状,感染経路,対処法,予防策),渡航先での流行状況の把握の有無とその情報源,渡航先で受診できる病院の知識の有無とその情報源,帰国後疑わしい症状が出現した際の対処法の知識の有無とその情報源など計15項目とした。

結果 対象者数115名のうち,有効回答数は112名であった(有効回答率97.4%)。黄熱について「調べている」と回答した者の割合は52.7%であった。そのうち,黄熱の主な症状についての正答率は半数以上であり,感染経路の正答率は89.8%であった。さらに,対処法,予防策の正答率も高かった。黄熱に関する全体的な知識を渡航経験の有無別に各個人の正答数と誤答数でみると,正答数はある者4.3個,ない者6.8個であり,ある者の方が有意に少なかった。誤答数はある者3.8個,ない者2.2個と,ある者の方が有意に多かった。渡航先での黄熱の流行状況を51.8%の者が「把握している」と回答した。渡航先で病気・けがをした場合に受診できる病院を「調べている」と回答した者が13.4%であった。また,帰国後に感染症が疑われる症状が続く場合の対処法を「把握している」と回答した者は36.6%であった。これらのことから黄熱の対処方法の情報収集は十分ではなかった。

結論 日本人渡航者は,渡航経験の有無を問わず黄熱の症状や感染経路などの基本的な知識はある程度持っているが,感染症対策について十分に対応できていないことが明らかになった。したがって,医療に携る者は,渡航者に対し,自分の身は自分で守るという意識改善を訴えていかなければならない。

キーワード 渡航者,黄熱,予防対策