精神に病を持つ人の居場所感尺度の検討

 

クニカタ ヒロコ カヤハラ ミチヨ トキ ヒロミ

國方 弘子 茅原 路代 土岐 弘美

 

目的 精神に病を持つ人が地域で充実感がある生活を送るためには,居場所のあることが重要な要素の1つである。本研究は,居場所感を「自分がそこにいてもいい場であり,自分らしくいられる場であり,自分がありのままにそこにいてもいいと認知し得る感覚」と定義し,精神に病を持つ人の居場所感尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした。

方法 分析対象は,地域で生活しデイケアに通所する統合失調症者83名とした。初回調査は平成19年1〜2月に行い,追跡調査は尺度の信頼性と妥当性を評価するために同一対象に,6カ月後に実施した。測定用具は,71項目からなる居場所感尺度原案,疎外感尺度(併存的妥当性の確認),WHOQOL-26尺度(予測的妥当性の確認),属性で構成した。分析は,探索的因子分析,確証的因子分析,シンクロナウス・イフェクツ・モデルを用いて妥当性を検討した。信頼性は,内的整合性と安定性の評価で検討した。

結果 探索的因子分析の結果,3因子が抽出された。3因子を一次因子,精神に病を持つ人の居場所感を二次因子とする高次因子モデルを構築しデータへの適合度を検討した結果,モデルは受容できた(χ2/df比=1.409GFI0.930AGFI0.851CFI0.980RMSEA0.071)。初回調査と追跡調査の精神に病を持つ人の居場所感は正の相関(γ=0.631,p<0.01),初回調査における精神に病を持つ人の居場所感と疎外感尺度は負の相関(γ=−0.548,p<0.01)があった。精神に病を持つ人の居場所感とWHOQOL-26の因果関係を分析した結果,初回調査における精神に病を持つ人の居場所感は,追跡調査の同一変数を0.545の標準偏回帰係数(p<0.001)で予測し,追跡調査における精神に病を持つ人の居場所感は追跡調査のWHOQOL-260.364の標準偏回帰係数(p<0.05)で予測した。α係数は0.893であった。

結論 結果より,本尺度の信頼性と妥当性は支持された。しかし,用いたデータが少ないために今後,大量のサンプルで調査を行うことが必要である。また,交差妥当性の検討も必要である。

キーワード 精神に病を持つ人,居場所感,尺度の開発,信頼性と妥当性