消費者が必要な食の安全に関する知識
−食品衛生監視員対象の質的調査から−
ナカガキ トシロウ ホリグチ イツコ ヒョウ コウレン
中垣 俊郎 堀口 逸子 馮 巧蓮
アカマツ リエ タナカ ヒサコ マルイ エイジ
赤松 利恵 田中 久子 丸井 英二
目的 消費者が食品のリスク情報を解釈するために必要な知識は何であるのかを明らかにすることを目的とした。
方法 地域的偏りがないよう全国から選出された検疫所を除く行政機関に勤務する食品衛生監視員27名を対象とし,質的調査(デルファイ法)を実施した。第1回調査では「一般消費者が必要とする食の安全の知識としてどのような内容が考えられるか」の質問に対して,7項目挙げ,その選出理由を記載してもらった。第2,3回調査では,第1回調査で選出された項目から優先度が高いと考える項目7つを選択してもらい,第1位を7点,第2位を6点,第3位を5点と7位1点まで順次得点化し,項目別の合計得点を算出した。選出理由はKJ法2)を用いて分析した。調査期間は,平成19年12月から20年2月であった。
結果 回収率は85%以上であった。第1回調査で56項目が選出され,最終的に35項目に1点以上の得点が与えられた。第1位より「生食の危険性」「食中毒防止」「食品表示」と続き,上位10項目中4項目はリスク分析に関する項目であった。上位10項目の選出理由では「消費者と食品と健康被害の関係」に対して「社会の抱える課題」と「リスクコミュニケーション」がそれぞれ関連し,「消費者自身」は「知識不足」「不十分な理解」「反応」「間違った理解」「態度」「能力」といった内面が「喫食行動」と関連していた。また,「食品」は,「リスク」そのものだけでなく「流通」「管理」があがった。
結論 消費者が必要な知識として認識されている項目は,リスク評価,リスク分析の考え方の視点からだけでなく,そのときどきのメディアの影響の可能性も示唆された。
キーワード 食の安全,知識,デルファイ法,食品衛生監視員