夜間対応型訪問介護の最重要課題
−関係機関への追跡実態調査を踏まえて−
タナカ タカアキ ワキノ コウタロウ
田中 孝明 脇野 幸太郎
目的 在宅での生活を希望する要介護者にとって,夜間帯での緊急時のニーズに対応するのが夜間対応型訪問介護である。平成17('05)年の介護保険法改正によって地域密着型サービスのひとつとして創設され,市町村の指定・監督権限のもと実施されている。本研究では,この事業の実態について把握することを目的とし,そこから明らかになる問題点について若干の検討を行ってみたい。
方法 本調査は,平成20('08)年4月から平成21('09)年4月までの厚生労働省「介護給付費実態調査月報」を参考とするほか,平成21('09)年7月1日から31日に実施した追跡アンケート調査をもとにまとめた。具体的には,全国の夜間対応型訪問介護の事業所に対するアンケート調査から実態を分析する。
結果 事業所数の推移は,全国的な傾向として減少傾向にある。開設主体では営利法人が最も多く,これに社会福祉法人が続いている。利用者数に関して,全国的には増加傾向にある。利用者の属性として,介護度が軽・中度の利用者が大半を占めている。家族構成は,高齢者単身世帯が半数以上である。訪問理由について,「排泄」が最も多く,次いで「転落・転倒」であった。自治体による緊急通報サービスとの兼務に関しては,29事業所のうち6事業所が自治体から委託されていた。
結論 この事業の利用状況は低調であり,利用率を伸ばすためには潜在的なニーズの掘り起こしが必要である。そのためには,広報の充実が求められるとともに,安定的な運営体制の確保のために人材の確保が急務である。また,この事業拡大のために,類似したサービスである緊急通報サービスとの機能を整理したうえで,有機的な活用方法が望まれる。
キーワード 夜間対応型訪問介護,介護報酬改定,利用限度額,緊急通報サービス