要支援ならびに要介護高齢者を居宅で介護している家族介護者の介護負担と主観的QOLに関する検討
−要介護度別と認知症の有無による違いについて−
エンドウ タダシ エビナ ナオミ モチヅキ マサヤ オノデラ アツシ ナガシマ キイチ
遠藤 忠 蝦名 直美 望月 正哉 小野寺 敦志 長嶋 紀一
目的 要支援ならびに要介護高齢者(以下,要介護高齢者)の家族介護者の介護負担と主観的QOLを測定し,要介護高齢者の要介護度ならびに認知症の有無との関連性を明らかにし,家族介護者支援を考慮するための基礎資料を得ることを目的とした。
方法 2007年8月時点において,要介護高齢者を居宅において介護する家族介護者1,657名を調査対象とした。家族介護者と要介護高齢者の基本属性に加えて,要介護高齢者の要介護度,認知症の有無や家族介護者の介護負担尺度(J-ZBI_8)と主観的QOL尺度等について調査した。
結果 771票が回収され(回収率46.5%),主要な分析項目において欠損のなかった579票(有効回答率34.9%)を分析対象とした。要介護高齢者の要介護度は,要介護2(21.6%)同3(20.0%)同1(18.7%)の順で多かった。また要介護高齢者の約半数が認知症を有していた(認知症群47.1%)。家族介護者のJ-ZBI_8の平均得点は12.5点(得点範囲0〜32点),主観的QOL尺度の平均得点は24.0点(得点範囲12〜36点)であった。そしてJ-ZBI_8得点と主観的QOL尺度総得点の相関係数はr=−0.588で有意であった(p<0.001)。「家族介護者の介護サービス利用満足感」と「介護期間」を統制変数とし,要介護高齢者の要介護度と認知症の有無を独立変数,J-ZBI_8得点と主観的QOL総得点をそれぞれ従属変数とする2要因共分散分析を行った。その結果,J-ZBI_8得点では交互作用が有意(p<0.05)であり,単純主効果の分析の結果,要支援から要介護3までは,認知症の有無の単純主効果が有意に認められ,認知症群は非認知症群に比べて介護負担が有意に高かった。また非認知症群において要介護度の単純主効果が有意に認められ,多重比較(Bonferroni法)の結果,要介護4は要支援,要介護1,同3に比べて介護負担が有意に高かった。特に要介護度が低い場合,認知症高齢者の家族介護者は非認知症高齢者の場合に比べて介護負担が高く,介護ニーズの程度が高い状態である可能性が示唆された。また主観的QOL総得点では,認知症の有無の主効果が有意(p<0.01)であり,認知症群は非認知症群に比べて主観的QOLが有意に低かった。家族介護者の主観的QOLの低下を防ぐこと,さらに介護負担が増悪しないためにも,早期介入による支援は有効であると考えられる。
結論 要介護度別と認知症の有無において,家族介護者の介護負担と主観的QOLの状況が異なることが示唆された。このことから,家族介護者の介護負担と日常の介護生活における主観的QOLを併せて測定し,要介護度と認知症の有無において,両変数の状況を明確にし,基礎資料とする取り組みは,家族介護者支援を考慮するための端緒として重要であることが考えられた。
キーワード 家族介護者,要支援ならびに要介護高齢者,認知症,介護負担,主観的Qualify of Life(QOL)