利用者のQOLの変化からみたケアマネジメントの効果

 

イム ヒョヨン アヤベ タカコ オカモト ヒデアキ トコロ ミチヒコ シラサワ マサカズ

林 暁淵 綾部 貴子 岡本 秀明 所 道彦 白澤 政和

 

目的 介護保険サービスの新規利用者の生活の質(QOL)が,介護支援専門員によるケアマネジメント実施前と比較して,実施6カ月後にどのように変化しているのかを調査し,ケアマネジメント実施の効果を明らかにすることを目的とする。

方法 近畿地方の4府県の介護支援専門員協会・協議会の会員で,かつ居宅介護支援事業者にて従事する介護支援専門員が担当することになった新規の利用者本人を対象とし,介護支援専門員が利用者本人に尋ねて記入するという他記式調査を行った。調査期間は,初回調査が平成16年8〜10月,2回目調査が平成17年2〜4月であり,それぞれの対象者が初回調査に回答した日から6カ月後に2回目調査を設定した。有効回収数は,初回調査が158人,2回目調査が120人であり,分析対象者は双方の調査において要介護度の記載も含めて回答があり,かつ自分自身のことについて意思表現に困難のない利用者91人とした。利用者のQOLをみるために,主観的健康度,睡眠,食事,家事,経済的安定感,対人関係,住環境,抑うつ,自己決定,生きがい感,生活満足度という11QOL領域,計23の調査項目を用意した。

結果 利用者のQOL各領域の得点の6カ月後における変化を対応のあるt検定により検討した結果,初回調査時の各領域の得点の平均値を基準とした「低位群」の場合は,ほとんどの領域において肯定的な変化がみられた。一方で,初回調査時の各領域の得点の平均値を基準とした「高位群」の場合は,肯定的な変化はみられず,ほとんどの領域において低下していた。

結論 ケアマネジメントの目的である生活の質の向上に関して,ケアマネジメントによる効果は,当初のQOL領域の得点が低いレベルの場合にはその効果が比較的高いが,当初のQOL領域の得点が高い場合においては,生活の質の向上や維持に不十分であることが考えられた。ケアマネジメントを実施する介護支援専門員は,特に新規利用者のうち身体機能面・社会環境面,精神心理面の生活の質が比較的良好な利用者に対し,これらの状態が低下しないように努めることや,生活の質が部分的に低下しないように利用者の生活の質を総合的に注視することが求められる。

キーワード ケアマネジメント,介護支援専門員(ケアマネジャー),高齢者,生活の質