在宅外傷性脳損傷患者の介護者における精神的健康度と関連要因
スズキ ユウスケ タネムラ ルミ モトムラ ナオヤス
鈴木 雄介 種村 留美 元村 直靖
目的 在宅外傷性脳損傷患者および介護者の特性,介護者の精神的健康度などを明らかにし,介護者の精神的健康度を維持,増進していくための支援のあり方を検討することを目的とする。
方法 近畿圏を中心とする脳損傷患者家族会に所属する介護者に自記式調査票を郵送した。調査項目は患者に関しては特性,日常生活動作能力,高次脳機能障害の症状,介護者に関しては特性,精神的健康度とした。分析は外傷性脳損傷患者と介護者に関する調査項目の各状態が,介護者の精神的健康度に与えている影響についての解析を行った。調査期間は2008年1月13日〜2月29日で62名を対象とした。
結果 患者は男49名,女13名,平均年齢は37.3±11.9歳であった。介護者は男3名,女59名,続柄は母親が43名で最も多かった。GHQ-30平均は14.8±7.6点で,精神的不健康とされる介護者は47名(75.8%)であった。介護者の精神的健康度に与えている影響について解析を行った結果,介護期間と介護者の睡眠時間が短いほど介護者の精神的健康度が悪化することが明らかとなった。患者の日常生活動作能力との関連では,整容と更衣に介助を要するほど精神的健康度が悪化していた。また,患者の高次脳機能障害の症状との関連では,遂行機能障害と社会的行動障害の症状を有するほど精神的健康度が悪化していた。
結論 外傷性脳損傷患者の介護者の精神的健康度に影響を与える要因を明らかにした。介護者に必要な支援は,外傷性脳損傷患者と介護者のコミュニケーションの特徴を捉え,双方にとってストレスを引き起こさないための関係の再構築,身だしなみやTPOに合わせ適切な衣服を着るなど,他者との関わりに影響を及ぼす日常生活動作の介助方法の指導,介護生活を維持していくための体調管理への支援である。また,これらの援助は患者が高次脳機能障害を呈し,介護生活が始まる初期段階からの援助が重要であることが示唆された。
キーワード 外傷性脳損傷,高次脳機能障害,介護者,精神的健康度