今後の国民生活基礎調査の在り方についての一考察(第2報)
ハシモト ヒデキ
橋本 英樹
目的 国民生活基礎調査に平成19年調査より採用された心の健康指標(K6)の表章のあり方について検討を行う。また,自覚的健康状態の報告バイアスについて検証する。
方法 旧統計法のもとで平成19年国民生活基礎調査の世帯票・健康票・介護票・所得票・貯蓄票について,目的外利用申請を行いデータを入手した。K6については,先行研究にならいスコア化したうえで5点をカットオフとして心理的ストレスの有所見割合を年齢・性・各票項目とクロスさせて推計した。自覚的健康状態(5件法)を年齢・性・罹患疾患・日常生活影響・心理的ストレス有無・10地域ダミーでordered probit
modelで回帰したのち,推計値を求めなおし,これを自覚的健康状態の回答結果と対比してバイアスの有無を検証した。
結果 心理的ストレスの有所見割合は,身体的健康や世帯構成,就労や所得・資産の保有状況など,個人を取り巻く様々な世帯面要因と関連が認められた。また,年齢層や性別によって,世帯面要因との関連は異なることが観察された。自覚的健康状態と推計された標準化健康指標との間には性差・地域差によるずれはみられなかったが,高年齢ほど推計値よりも低い健康状態を報告する傾向が明瞭にみられた。これは疾病や日常生活動作の障害などで表現される以外の,生理的加齢による影響を反映している可能性が考えられた。
結論 心理的ストレスは,ジェンダー役割やライフステージによってストレッサーが異なり,それに応じた評価分析や対応が必要であることが示唆された。そのためには年齢・性別に加えて,世帯票・介護票・所得票各票の項目とのクロス集計が必要であると考えられた。自覚的健康状態は,健康状態の客観的指標として年齢層ごとに地域比較や属性比較を行うには,十分機能していることが確認された。年齢による影響についてはさらなる検討が必要である。
キーワード 国民生活基礎調査,K6,表章のあり方,自覚的健康状態,報告バイアス