小規模地方自治体における医療費関連指標に関する地域診断と相関分析

−総務省類型による町村T−1を対象として−

 

カミオカ ヒロハル オカダ シンペイ ムトウ ヨシテル ホンダ タクヤ モリヤマ ショウコ

上岡 洋晴 岡田 真平 武藤 芳照 本多 卓也 森山 翔子

 

目的 本研究は,総務省が平成192007)年度に分類した小規模自治体を対象として,老人医療費,地域差指数,介護費,介護認定率,平均寿命についての地域診断を実施すること,介護費および老人医療費に関連する因子との相関を明らかにすることを目的とした。

方法 総務省はすべての地方自治体を人口と産業構造によって35分類しているが,このうち農山村が主に含まれる「町村T−1(人口5,000人未満で,第2,3次産業従事者が80%以上,第3次産業従事者55%未満)」を対象とした。最新の平成19年度の分類では,32町村が該当した。医療関連,介護関連,健康関連の指標は,平成172005)年度分公開統計を利用した。具体的には,国民健康保険(国保)における老人(65歳以上)1人当たり医療費と地域差指数,65歳以上1人当たり介護費,人口(人口,世帯数),高齢化状況(高齢化率,高齢者に占める後期高齢者割合,生産人口比率,高齢単身・夫婦・同居の各世帯割合),産業構造(第1次・2次・3次の各産業従事者割合,人口に占める就業者割合,飲食店数),医療福祉サービス供給(人口対医療福祉業従事者数),介護依存実態(要介護認定率,介護費用に占める居宅介護費用割合),健康関連指標(平均寿命),人口対病院数・診療所数,人口対常勤保健師数であった。地域診断では,各町村における老人医療費,地域差指数,介護費,介護認定率,平均寿命の5項目を全国平均と比較してレーダーチャートで示した。その上で,老人医療費と介護費を目的変数とした重回帰分析を行った。

結果 地域診断では,神恵内村は介護費が安価だが老人医療費が高価な型であった。若桜町と球磨村は,介護費が高価だが老人医療費が安価な型であった。その他の町村は,5項目が安定あるいは良好な型であった。老人医療費と介護費の単相関係数は,r=−0.13で有意ではなかった。重回帰分析の結果,老人医療費との標準回帰係数の大きい順に相関の高かった因子は,1人当たり入院費,1人当たり入院外費であった。介護費では,世帯数,第2次産業比率であった。

結論 総務省類型の小規模自治体(町村I−1)においては,老人医療費と介護費との相関係数は低く,類似・相互補完関係など多様であった。小規模町村の評価には,保健・福祉事業の詳細を把握するような質的分析の必要性が示唆された。

キーワード 地方自治体,老人医療費,介護費,過疎,高齢化