首都圏A市在宅高齢者の知的能動性と5.9年間追跡生存予後に基づく認知症見逃し割合
−家族が認知症と認識している群とそれ以外の群との比較から−
 
ヤマモト チサコ ホシ タンジ
山本 千紗子 星 旦二
 
目的 地域在宅高齢者の基礎調査時の知的能動性と5.9年間追跡した生存・死亡状況との関連から,認知症見逃し割合を明らかにすることとした。
方法 2001年9月に実施した65歳以上在宅高齢者全数対象の生活実態調査(回収割合80.2%)に基づき,13,058人を分析対象とし,家族が代理回答で「理解力なし(認知症あり)」を選択した場合を,家族が同居高齢者の認知症を認識している群(以下,家族認識認知症群),それ以外の群を「家族認識以外群」とした。2004年と2007年に生存死亡状況を調査し,12,143人について5.9年間追跡した。知的能動性活動として「預貯金の出し入れ・年金等の書類記入・新聞書物を読む」を用いて得点化し,ROC曲線(受診者動作特性曲線)により低得点群と高得点群に分割した。家族認識以外群をさらに低得点・高得点群に分け,家族認識認知症群と家族認識以外2群の死亡割合の関連から認知症見逃し割合を検討した。
結果 家族認識認知症群の低得点群は男性95.1%,女性96.2%,家族認識以外群の低得点群は男性6.3,女性9.3%であった。5.9年間の累積死亡割合は,家族認識認知症群が56.7%(男性63.5%,女性54.0%),家族認識以外低得点群は49.4%(男性55.6%,女性45.6%),家族認識以外高得点群が11.6%(男性15.3%,女性8.1%)であった。5.9年間の死亡者の死亡時平均年齢は,家族認識認知症群が男性85.6歳,女性90.1歳,家族認識以外低得点群は男性84.8歳,女性90.2歳,家族認識以外高得点群では男性79.6歳,女性80.2歳であった。
結論 家族認識以外低得点群である男性6.3%,女性9.3%は,先行研究の結果と同様に,死亡割合が高く,死亡時平均年齢が家族認識認知症群とほぼ等しいことによって,認知機能低下があるにもかかわらずその症状が見過ごされている認知症見逃し割合に等しいことが示唆された。さらに,家族も本人も認知症と認識していない場合であっても,知的能動性を測定して低得点者を識別する意義が大きい可能性が示された。
キーワード 家族認識認知症群,知的能動性,家族認識以外低得点群,認知症見逃し割合,累積死亡割合,死亡時平均年齢