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論文記事:総合健康保険組合被保険者に対する職業性ストレスチェックを加味した禁煙プログラムの効果 201310-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第60巻第12号 2013年10月

総合健康保険組合被保険者に対する
職業性ストレスチェックを加味した禁煙プログラムの効果

 
冨山 紀代美(トミヤマ キヨミ) 春山 康夫(ハルヤマ ヤスオ ) 猿山 淳子(サルヤマ アツコ)
金子 牧子(カネコ マキコ) 武藤 孝司(ムトウ タカシ)

目的 禁煙プログラムに加えて職業性ストレス調査結果をフィードバックしたプログラムの効果を明らかにすることを目的とした。

方法 本研究は準実験研究であり,研究対象である総合健康保険組合に加入する1事業所の5,721名に対して喫煙および職業性ストレスのアンケートを実施した。有効回答者は4,304名(75.2%)で,そのうちの喫煙者1,396名(32.4%)を本研究の対象者とした。喫煙者のうち1,250名には禁煙プログラムとして禁煙の情報提供および禁煙治療サポートへの参加の推奨等を実施し,146名には禁煙プログラムに加えて職業性ストレス結果のフィードバックを実施した。1年後,追跡調査としてアンケートを実施したところ2年間続けて参加した対象者はそれぞれ789名(63.1%)と120名(82.2%)であった。アンケートの項目は性,年齢,仕事関連因子,喫煙および職業性ストレスであった。職業性ストレスの評価は厚生労働省の職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)を用い,仕事のストレッサー,身体的ストレス,精神的ストレスおよび社会的支援の各指標はリッカート尺度で計算した。カテゴリー変数についてはχ2検定,連続変数は対応のないt検定,職業性ストレス各指標の前後比較は対応のあるt検定を用いた。また,群別の1年後の禁煙成功者については多重ロジスティック回帰分析を実施した。

結果 禁煙+BJSQ結果フィードバック群では仕事のストレッサー平均得点は有意に低下しており(P=0.042),精神的および身体的ストレスに関しては有意な変化はみられなかった。一方,社会的支援の平均得点は禁煙のみ群で有意に減少していた(P<0.003)。年齢,性,雇用形態,シフトワーク,職位および労働時間を調整した結果,禁煙のみ群に対し禁煙+BJSQ結果フィードバック群は2.05倍(95%信頼区間:1.002-4.208)禁煙に成功した。

結論 禁煙+BJSQ結果フィードバック群では仕事上のストレッサーが減り,禁煙のみ群に対し,禁煙+BJSQ結果フィードバック群の喫煙禁煙成功者が2倍多かった。本研究の結果から事業所にて禁煙を推進していくためには,喫煙に関するアプローチのみでなく,職業性ストレスの軽減も考慮した働きかけが必要であることが示唆された。

キーワード 産業保健,健康保険組合,喫煙,禁煙,職業性ストレス

 

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