第104回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成27年2月22日(日)に実施された第104回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
20問 |
40.0% |
一般問題 |
130問 |
26問 |
20.0% |
計 |
180問 |
46問 |
25.6% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 日本の将来推計人口で2025年の65歳以上人口が総人口に占める割合に最も近いのはどれか。(改題)
- 15%
- 30%
- 45%
- 60%
② 30%
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の老年人口(65歳以上人口)割合は28.9%となっているが、日本の将来推計人口(平成29年推計)によると、令和7年(2025年)には30.0%、令和17年(2035年)には32.8%、令和27年(2045年)には36.8%、令和37年(2055年)には38.0%、令和47年(2065年)には38.4%に増えると見込まれている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 5〕将来推計人口
2 日本の令和元年(2019年)における傷病別にみた通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。(改題)
- 腰痛症
- 高血圧症
- 歯の病気
- 眼の病気
② 高血圧症
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の傷病で通院している者(通院者)は、人口千人当たり404.0(男388.1・女418.8)であり、傷病別にみると、男女ともに高血圧症が最も高い(男129.7・女122.7)。
【▼参照】
第2編4章 健康状態と受療状況 1.健康状態 2〕通院者の状況
3 国民健康保険の保険者はどれか。2つ選べ。(改題)
- 国
- 都道府県
- 市町村
- 健康保険組合
② 都道府県
③ 市町村
【▼ポイント】
国民健康保険の保険者は、都道府県・市町村・国民健康保険組合である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 1.医療保険制度
4 医療従事者による十分な説明に基づく患者の同意を示すのはどれか。
- エンパワメント
- コンプライアンス
- リスクマネジメント
- インフォームド・コンセント
④ インフォームド・コンセント
【▼ポイント】
医療法に、医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が規定されている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法/第6編3章 医薬品等の安全性と有効性の確保 5〕倫理指針と臨床研究法
8 要介護者に対し看護、医学的管理の下において必要な医療や日常生活上の世話を行う施設はどれか。
- 授産施設
- 保健センター
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
③ 介護老人保健施設
【▼ポイント】
介護保険制度の施設サービスとして、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院が規定されている。介護老人保健施設では、症状が安定期にある要介護者に対し、居宅での生活が営めるよう支援するため、看護、医学的管理の下における必要な医療や日常生活上の世話を行う。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
9 機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。
- 1人の看護師が毎日異なる患者を受け持つ。
- 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
- 1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
- 患者をいくつかのグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。
② 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
【▼ポイント】
③はプライマリナーシング、④は(固定)チームナーシングの説明である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
12 最も緊急性の高い不整脈はどれか。
- 心房細動
- 心室細動
- Ⅰ度房室ブロック
- 完全右脚ブロック
② 心室細動
【▼ポイント】
致死性不整脈である心室細動は緊急性が高い。電気ショックによりこれを取り除く自動体外式除細動器(AED)が、一次救命処置において重要である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
15 生活習慣病の一次予防はどれか。
- 早期治療
- 検診の受診
- 適切な食生活
- 社会復帰を目指したリハビリテーション
③ 適切な食生活
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。①と②は二次予防、④は三次予防である 。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
17 医薬品に関する禁忌を示すことが定められているのはどれか。
- 処方箋
- 診断書
- 看護記録
- 添付文書
④ 添付文書
【▼ポイント】
医薬品医療機器確保法(薬機法)の規定に基づく医療用医薬品に添付する文書の作成に当たっては、厚生労働省通知「医療用医薬品の添付文書記載要領」の項目が参照され、禁忌や組成・形状、効能又は効果、用法及び用量などが含まれる。
【▼参照】
第6編2章 医薬品等の生産と輸出入
25 振動が原因となる職業性疾病はどれか。
- 中皮腫
- 熱中症
- 高山病
- 白ろう病
④ 白ろう病
【▼ポイント】
チェーンソー等の振動工具の使用に伴う身体局所に振動を与える業務による職業性疾病として、振動障害、レイノー(蒼白発作)現象(白ろう病)など手指や前腕の末梢循環障害、末梢神経障害、運動器障害が挙げられる。
【▼参照】
第8編 労働衛生 5.職業性疾病の予防対策 3〕その他の職業性疾病
31 日本の令和2年(2020年)における女性の年齢階級別労働力率の推移を示すグラフの特徴はどれか。(改題)
- 20歳代をピークとする山型
- 40歳代をピークとする山型
- 20歳代と40歳代をピークとするM字型
- 20歳代から50歳代にかけての逆U字型
③ 20歳代と40歳代をピークとするM字型
【▼ポイント】
女性の年齢階級別労働力率をみると、下図のようになる(平成12年・令和2年)
女性就業の特徴として、子育て期に当たる30歳代に労働力率が低下し、20歳代と40歳代をピークとするM字カーブが挙げられる。近年は妊産婦の就業に対する法整備や晩婚化の結果、30歳代の落ち込みは緩和されているが、まだこの特徴は認められる。なお、④20歳代から50歳代にかけての逆U字型は男性の特徴である。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 3〕労働力人口
32 生活保護法に基づき保護を決定するのはどれか。
- 保健センター
- 福祉事務所
- 保健所
- 病院
② 福祉事務所
【▼ポイント】
生活保護の決定と実施に関する権限は、都道府県知事と市長、福祉事務所を設置する町村の長が有し、多くの場合、その設置する福祉事務所の長に権限が委任されている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 2.生活保護等
33 環境要因と健康への影響の組合せで正しいのはどれか。
- 高温――難聴
- ヒ素――イタイイタイ病
- オゾンホール――赤外線障害
- 光化学オキシダント――粘膜刺激
④ 光化学オキシダント――粘膜刺激
【▼ポイント】
×① 高温――難聴
高温は熱中症などを引き起こす。
×② ヒ素――イタイイタイ病
イタイイタイ病はカドミウムの慢性中毒による腎障害に骨軟化症などの病態が加わって生じる。
×③ オゾンホール――赤外線障害
オゾン層は地球に降り注ぐ太陽光線のうち有害な紫外線を吸収して地球上の生物を保護しており、オゾン層が破壊され、オゾンホールが生じた場合、紫外線障害を引き起こす。
○④ 光化学オキシダント――粘膜刺激
光化学オキシダントは、窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)とが太陽光の作用により反応(光化学反応)して二次的に生成されるオゾンなどの強い酸化力を持った物質で、光化学スモッグの原因となり、粘膜への刺激や呼吸器への悪影響など人間の健康に悪影響を及ぼす。
【▼参照】
第9編 環境保健 等
34 大気汚染に関する環境基準が定められている物質はどれか。
- 二酸化炭素
- 一酸化窒素
- フッ化水素
- 微小粒子状物質
④ 微小粒子状物質
【▼ポイント】
環境基本法に基づく大気汚染に係る環境基準として、①二酸化硫黄(SO2)、②一酸化炭素(CO)、③浮遊粒子状物質(SPM)、④微小粒子状物質(PM2.5)、⑤二酸化窒素(NO2)、⑥光化学オキシダント、⑦ベンゼン、⑧トリクロロエチレン、⑨テトラクロロエチレン、⑩ジクロロメタンが設定されている。PM2.5は、浮遊粒子状物質(SPM)の中でも特に粒径が小さい有害大気汚染物質で、呼吸器や循環器への影響が懸念される。
【▼参照】
第9編4章 環境保全対策 1.大気汚染対策の動向 1〕大気汚染に係る環境基準
35 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉で定められているのはどれか。
- 妊産婦が請求した場合の深夜業の禁止
- 産後8週間を経過しない女性の就業禁止
- 生後満1年に達しない生児を育てる女性の育児時間中のその女性の使用禁止
- 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合の時間外労働の制限
④ 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合の時間外労働の制限
【▼ポイント】
育児・介護休業法では、子どもが1歳になるまでの育児休業や、3歳までの子を養育する労働者の請求による所定外労働の制限や所定労働時間の短縮、小学校就学前までの子を養育する労働者の看護休暇の取得や時間外労働の制限を規定している。なお、①、②、③は労働基準法で定められている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
39 血液の付着した注射針を廃棄する容器はどれか。
- 黄色バイオハザードマーク付きの容器
- 橙色バイオハザードマーク付きの容器
- 赤色バイオハザードマーク付きの容器
- 非感染性廃棄物用の容器
① 黄色バイオハザードマーク付きの容器
【▼ポイント】
感染性廃棄物を収納した容器にはバイオハザードマークを付けることが推奨され、性状に応じてマークの色を、①液状又は泥状のもの(血液等)は赤色、②固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)は橙色、③鋭利なもの(注射針等)は黄色と分けることが望ましい。
【▼参照】
第9編5章 廃棄物対策の動向 4.特別管理廃棄物
44 成人の心臓マッサージ法の圧迫部位を図に示す。

正しいのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。圧迫箇所は胸骨中央下部である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
46 日本の最近10年の成人を取り巻く社会状況で正しいのはどれか。
- 生産年齢人口の占める割合の増加
- 単独世帯の占める割合の増加
- 非正規雇用者の比率の低下
- 平均初婚年齢の低下
② 単独世帯の占める割合の増加
【▼ポイント】
×① 生産年齢人口の占める割合の増加
63.8%(2010年)→59.4%(2020年)
○② 単独世帯の占める割合の増加
25.5%(2010年)→28.8%(2019年)
×③ 非正規雇用者の比率の低下
34.4%(2010年)→37.2%(2020年)
×④ 平均初婚年齢の低下
夫30.5歳・妻27.0歳(2010年)→夫31.0歳・妻29.4歳(2020年)
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 等
62 出生前診断について正しいのはどれか。
- 遺伝相談は勧めない。
- 胎児異常を理由に人工妊娠中絶はできない。
- 治療不可能な疾患に関する診断結果は伝えない。
- 胎児の超音波検査は出生前診断の方法に含まれない。
② 胎児異常を理由に人工妊娠中絶はできない。
【▼ポイント】
母体保護法上、①妊娠の継続または分娩が妊婦の身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、あるいは②暴行もしくは脅迫によってまたは抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したものには、人工妊娠中絶の実施が可能であるとされている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 4〕その他の母子保健医療施策
63 妊娠中の母体の要因が胎児に及ぼす影響について正しいのはどれか。
- 飲酒の習慣による巨大児
- 喫煙による神経管形成障害
- 妊娠初期の風疹の罹患による先天性心疾患
- ビタミンAの過剰摂取による低出生体重児
③ 妊娠初期の風疹の罹患による先天性心疾患
【▼ポイント】
風疹は、発熱や発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風疹ウイルスによる感染性疾患で、主に飛沫感染が感染経路である。妊婦が妊娠20週ごろまでに風しんに感染すると、白内障や先天性心疾患、難聴などを特徴とする先天性風しん症候群の児が生まれる可能性がある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 5〕風しん・麻しん
68 精神科病院に医療保護入院をしている患者から退院請求があった。入院継続の適否について判定するのはどれか。
- 保健所
- 地方裁判所
- 精神医療審査会
- 地方精神保健福祉審議会
③ 精神医療審査会
【▼ポイント】
精神医療審査会は、措置入院と医療保護入院の要否や、入院患者からの退院請求や処遇改善請求の審査を行う。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
74 医療法で医療機関に義務付けられているのはどれか。
- 医療安全管理者の配置
- 厚生労働省へのインシデント報告
- 患者・家族への医療安全指導の実施
- 医療安全支援センターへの医療事故報告
① 医療安全管理者の配置
【▼ポイント】
○① 医療安全管理者の配置
病院等の管理者は医療に係る安全管理のため、医療安全管理者や医療対話推進者を配置し、指針の整備、医療安全委員会の設置、職員研修(年2回程度)の実施などの体制を確保する。
×④ 医療安全支援センターへの医療事故報告
医療安全支援センターは、医療の安全の確保のために都道府県・保健所設置市・特別区が設置するもので、医療に関する苦情や相談への対応、情報の提供、医療関係者への研修などを実施する。医療事故等が発生した場合は、病院等(病院・診療所・助産所)の管理者は遅滞なく医療事故調査・支援センターに報告することとなっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 8〕医療安全管理体制
75 災害発生後の時期と災害看護活動の組合せで最も適切なのはどれか。
- 災害発生直後〜数時間――食中毒予防
- 災害発生後3日〜1週――外傷後ストレス障害〈PTSD〉への対応
- 災害発生後1週〜1か月――廃用症候群の予防
- 災害発生後1か月以降――救命処置
③ 災害発生後1週〜1か月――廃用症候群の予防
【▼ポイント】
×① 災害発生直後〜数時間――食中毒予防
電力や水道などライフラインの途絶により十分な低温管理、加熱、洗浄ができなくなり、食中毒が発生しやすくなるが、発災直後よりも避難所等の生活に移行した後の予防が重要である。
×② 災害発生後3日〜1週――外傷後ストレス障害〈PTSD〉への対応
外傷後ストレス障害〈PTSD〉は発災後1か月以降に生じやすい。なお、発災後数日から数週間の急性期には急性ストレス障害が生じやすい。
○③ 災害発生後1週〜1か月――廃用症候群の予防
発災後1週~1か月の中長期にわたる避難所等の生活により活動性が低下することで、身体機能の低下やうつ状態など廃用症候群が生じやすくなる。
×④ 災害発生後1か月以降――救命処置
救命処置は発災直後速やかに行い、死亡や後遺症を減少させることが望ましい。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
76 令和2年(2020年)の国連エイズ合同計画〈UNAIDS〉の報告において、ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉陽性者が最も多い地域はどれか。(改題)
- 東欧・中央アジア
- 西欧・中欧・北アメリカ
- アジア太平洋
- 東部・南部アフリカ
④ 東部・南部アフリカ
【▼ポイント】
HIV/エイズは、その感染力や対策費用の負担の大きさから、世界各国が協力して対策を進めなければならない問題として、マラリア、結核と並び世界の三大感染症ともいわれる。2020年末現在のHIV感染者は3760万人と推定されており、東部・南部アフリカが2060万人と半分以上を占めている。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 4〕HIV・エイズ(AIDS)
82 介護保険制度におけるケアマネジメントで適切なのはどれか。
- スクリーニングで介護保険の対象の可否を判断する。
- アセスメントで利用者の疾患を診断する。
- 利用者は居宅介護サービス計画書を作成できない。
- ケアサービスの提供と同時にモニタリングを行う。
- ケアマネジメントの終了は介護支援専門員が決定する。
④ ケアサービスの提供と同時にモニタリングを行う。
【▼ポイント】
介護支援専門員等によるケアマネジメントでは、要介護者等を支援する上で解決すべき課題を把握(アセスメント)し、課題を解決するための介護サービス計画を作成する。介護サービス計画に基づき実施されたサービスについては、要介護者等の心身や生活の状況の変化を継続的に把握・評価(モニタリング)し、それに応じて介護サービス計画の修正を行う。なお、介護サービス計画は利用者自ら作成し、居宅サービスを受けることも可能である。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 8〕介護関係従事者
午後
1 日本の令和3年(2021年)における合計特殊出生率はどれか。(改題)
- 0.80
- 1.30
- 1.80
- 2.30
② 1.30
【▼ポイント】
合計特殊出生率は、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものをいい、令和3年(2021年)は1.30となっている。なお、出生数は過去最低の81.2万人である。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生 1〕出生の動向
2 警察庁の「令和3年(2021年)中における自殺の状況」の自殺者の原因・動機のうち最も多いのはどれか。(改題)
- 学校問題
- 家庭問題
- 勤務問題
- 健康問題
④ 健康問題
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の自殺者は2.1万人で、そのうち原因・動機特定者の原因・動機(複数回答)をみると、健康問題が46.8%と最も高く、次いで経済・生活問題が16.0%、家庭問題が15.2%となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 7〕外因死
3 食中毒の原因となるのはどれか。
- セラチア
- カンジダ
- サルモネラ
- クラミジア
③ サルモネラ
【▼ポイント】
サルモネラ属菌は、鶏や豚、牛などの動物の腸管や、河川、湖、下水道などに広く生息し、食品等を通してヒトに胃腸炎症状などの食中毒を引き起こす。食中毒予防の原則である加熱殺菌(中心部の温度が75℃で1分間以上加熱)が効果的である。
【▼参照】
第7編2章 食品安全行政の動向 10.食中毒対策
4 要介護状態の区分の審査判定業務を行うのはどれか。
- 介護認定審査会
- 介護保険審査会
- 社会福祉協議会
- 社会保障審議会
① 介護認定審査会
【▼ポイント】
市町村は介護保険被保険者からの申請を受けて調査を行い、市町村に設置された介護認定審査会が要介護状態の区分の審査・判定を行う。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
7 人口年齢区分における15歳から64歳までの年齢区分はどれか。
- 従属人口
- 年少人口
- 老年人口
- 生産年齢人口
④ 生産年齢人口
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の年齢3区分別人口構成割合は、②年少人口(0~14歳)が11.8%、④生産年齢人口(15~64歳)が59.4%、③老年人口(65歳以上)が28.9%となっている。なお、①従属人口は年少人口と老年人口を合わせたものをいう。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 1〕全国の総人口
8 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で、世帯総数における核家族世帯の割合に最も近いのはどれか。(改題)
- 30%
- 45%
- 60%
- 75%
③ 60%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の核家族世帯の割合は59.8%で、内訳を見ると夫婦のみが24.4%、夫婦と未婚の子のみが28.4%、ひとり親と未婚の子のみが7.0%となっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
9 介護保険法に基づき訪問看護を行うことができる職種はどれか。
- 医師
- 薬剤師
- 理学療法士
- 介護福祉士
③ 理学療法士
【▼ポイント】
訪問看護を行うことができる職種として、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が認められている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
10 嚥下困難のある患者への嚥下訓練において連携する職種で最も適切なのはどれか。
- 歯科技工士
- 言語聴覚士
- 義肢装具士
- 臨床工学技士
② 言語聴覚士
【▼ポイント】
言語聴覚士は、音声機能、言語機能、聴覚に障害のある者に対して、言語訓練や摂食・嚥下訓練、これに必要な検査、助言、指導などの援助を行うことを業とする者である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 5〕その他の医療関係職種
17 貼付剤として用いられる薬剤はどれか。
- フェンタニル
- リン酸コデイン
- モルヒネ塩酸塩
- オキシコドン塩酸塩
① フェンタニル
【▼ポイント】
麻酔や疼痛緩和に用いられるフェンタニルには、経皮吸収型の貼付剤がある。なお、麻薬及び向精神薬取締法により麻薬として規定され、麻薬診療施設内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければならない。
【▼参照】
第6編4章 特殊な医薬品、毒物・劇物 2.麻薬・覚醒剤等
21 最も高い照度を必要とするのはどれか。
- 病室
- 手術野
- 外来の廊下
- ナースステーション
② 手術野
【▼ポイント】
保健医療施設の照度は日本産業標準調査会のJIS規格により定められており、①病室は全般100ルクス、②手術室は全般1,000ルクスで手術野は10,000~100,000ルクス、③病棟の廊下は200ルクス、④ナースステーション(看護師室)は500ルクスなどとなっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5〕医療施設
31 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症で正しいのはどれか。
- 経皮感染する
- 無症候期がある。
- DNAウイルスによる。
- 血液中のB細胞に感染する。
② 無症候期がある。
【▼ポイント】
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の主な感染経路は、HIV感染者との性行為、血液または血液製剤の輸注、母子感染(垂直感染)の3つである。HIVに感染した場合、多くはほとんど症状もなく経過し、無症候性キャリアの状態で平均10年程度経過した後に症状が現れ、ニューモシスティス肺炎(カリニ肺炎)やカンジダ症、カポジ肉腫などの23の指標疾患の1つ以上を発症するとエイズと診断される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 4〕HIV・エイズ(AIDS)
35 日本国憲法第25条で定められているのはどれか。
- 国民の平等性
- 国民の生存権
- 国民の教育を受ける権利
- 国及び公共団体の賠償責任
② 国民の生存権
【▼ポイント】
日本国憲法第25条は国民の生存権を定めている。
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 2.生活保護等
36 社会福祉協議会の活動で正しいのはどれか。
- ボランティア活動を推進する。
- 就労の支援活動を推進する。
- 男女共同参画を推進する。
- がん対策を推進する。
① ボランティア活動を推進する。
【▼ポイント】
社会福祉協議会は、社会福祉法に基づく地域福祉の推進を図ることを目的とする民間組織で、地域の実情に応じボランティア活動支援、見守りネットワークづくり、生活福祉資金の貸し付け、日常生活自立支援事業などを実施している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 3.地域福祉
38 職場における疾病予防の対策のうち三次予防はどれか。
- 健康教育の実施
- 人間ドックの受診勧奨
- じん肺健康診断の実施
- 職場復帰後の適正配置
④ 職場復帰後の適正配置
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。①は一次予防、②と③は二次予防である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
39 看護師の業務で正しいのはどれか。
- グリセリン浣腸液の処方
- 褥婦への療養上の世話
- 酸素吸入の流量の決定
- 血液検査の実施の決定
② 褥婦への療養上の世話
【▼ポイント】
看護師は傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする(保健師助産師看護師法第5条)。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
48 看護師の人員配置基準について定めた法律はどれか。
- 医療法
- 労働基準法
- 保健師助産師看護師法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
① 医療法
【▼ポイント】
医療法により病床種別ごとに人員配置基準(人員1人当たりの入院患者数)や構造設備基準が定められており、たとえば一般病床における看護師・准看護師の人員配置基準は3:1(入院患者3人に対して看護師・准看護師1人)となっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設 3〕病床の状況
57 日本の令和2年(2020年)の養護者による高齢者虐待の種類で最も多いのはどれか。(改題)
- 身体的虐待
- 心理的虐待
- 介護等放棄
- 性的虐待
① 身体的虐待
【▼ポイント】
令和2年度(2020年度)の高齢者虐待の状況では、身体的虐待が、養介護施設従事者等によるものでは52.0%、養護者によるものでも68.2%と最も多く、半分以上を占めている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 2〕高齢者虐待防止
66 Aさん(38歳、女性、パート勤務)は、腹痛のため、姉に付き添われて救急外来を受診した。診察時、身体には殴られてできたとみられる複数の打撲痕が確認された。腹痛の原因は夫から蹴られたことであった。Aさんは「家に帰るのが怖い。姉には夫の暴力について話したくない」と泣いている。
外来での看護師の対応で適切なのはどれか。
- 打撲痕を姉に見てもらう。
- 配偶者暴力相談支援センターに通報する。
- 暴力を受けたときの状況を具体的に話すことを求める。
- Aさんが日頃から夫を怒らせるようなことがなかったか聞く。
② 配偶者暴力相談支援センターに通報する。
【▼ポイント】
配偶者暴力相談支援センターは、通報などを受けて暴力被害者の相談や自立支援を行うほか、必要な場合には母子生活支援施設や民間シェルターへの一時保護を行っている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 5〕配偶者からの暴力の防止対策
77 1歳0か月の幼児の標準的な身長と体重の組合せで正しいのはどれか。
身長――体重
- 55cm――6kg
- 75cm――6kg
- 75cm――9kg
- 100cm――9kg
- 100cm――12kg
③ 75cm――9kg
【▼ポイント】
乳幼児身体発育調査(平成22年)をみると、出生時の平均身長は約50cmであるが、1年ごろには約1.5倍、4年ごろには約2倍となる。出生時の平均体重は約3kgであるが、3か月ごろには約2倍、1年ごろには約3倍となる。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生
80 小児医療に関する課題とその対応の組合せで正しいのはどれか。
- 低出生体重児の増加――人工乳による哺育の推進
- 育児不安が強い親の増加――子どもの自立支援
- 障害児の在宅医療のニーズの増加――レスパイトケアの充実
- 小児救急医療を受診する子どもの増加――ドクターカーの充実
- 成人になった小児慢性疾患患者の増加――親の意思決定の支援
③ 障害児の在宅医療のニーズの増加――レスパイトケアの充実
【▼ポイント】
レスパイトケアは、介護者等の一時的な休息支援を図るものである。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健
88 精神科病棟における身体拘束時の看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1時間ごとに訪室する。
- 拘束の理由を説明する。
- 水分摂取は最小限にする。
- 患者の手紙の受け取りを制限する。
- 早期の解除を目指すための看護計画を立てる。
② 拘束の理由を説明する。
⑤ 早期の解除を目指すための看護計画を立てる。
【▼ポイント】
精神疾患の入院患者の処遇にあたり、身体的拘束は制限の程度が強く、代替方法が見出されるまでの間のやむを得ない処置として行われる行動の制限であり、できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めなければならないこととされる。その際、患者に身体的拘束を行う理由を知らせるよう努めること、身体的拘束が漫然と行われることがないよう、医師は頻回に診察を行うことなどに特に留意する。なお、隔離や身体的拘束の制限がある場合でも、信書の発受(④)や、行政機関の職員、代理人である弁護士との電話・面会については制限できない。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
対応外必修問題
午前5 受精から着床開始までの期間はどれか。
- 1〜2日
- 6〜7日
- 13〜14日
- 20〜21日
② 6〜7日
【▼ポイント】
射精された精子と排卵された卵子は、卵管膨大部で融合して受精卵となる(受精)。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管から子宮に移動(受精後4~5日)した後、子宮内膜に着床を開始(受精後6〜7日)する。
午前6 思春期の子どもの親に対する行動の特徴で適切なのはどれか。
- 親からの干渉を嫌うようになる。
- 親と離れると不安な様子になる。
- 親に秘密を打ち明けるようになる。
- 親からの助言を素直に聞けるようになる。
① 親からの干渉を嫌うようになる。
【▼ポイント】
思春期には、依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情を持ちながらも、自我同一性(アイデンティティ)の確立の過程で、親からの心理的離乳、年長者の価値観への拒絶、同世代の仲間との価値観の共有がみられる(第2反抗期)。
午前7 加齢によって衰えやすい機能はどれか。
- 記銘力
- 洞察力
- 判断力
- 統合力
① 記銘力
【▼ポイント】
記銘力は、新しい情報や体験を覚えて保持する能力である。流動性知能であり、10歳代後半から20歳代前半にピークを迎えた後は加齢とともに低下を続ける。一方、結晶性知能(②・③・④)は長年の経験や教育、学習から獲得する知能で、20歳以降も上昇し、高齢になっても維持・安定している。
午前10 免疫機能に関与する細胞はどれか。
- 血小板
- 白血球
- 網赤血球
- 成熟赤血球
② 白血球
【▼ポイント】
白血球は体内に侵入した細菌、ウイルスなどを排除する免疫機能を持つ。白血球の多くを占める好中球は、細菌感染や真菌感染から体を守る主要な生体防御機構である。
午前11 月経周期が順調な場合、最終月経の初日を0日とすると分娩予定日はどれか。
- 240日目
- 280日目
- 320日目
- 360日目
② 280日目
【▼ポイント】
正期産は妊娠満37週0日(259日)~41週6日(293日)とされ、最終月経の初日を0日とした順調な分娩予定日は40週0日(280日)である。なお、早期産は妊娠満22週0日(154日)~36週6日(258日)、過期産は妊娠満42週0日(294日)以上であり、①は早期産、③と④は過期産に当たる。
午前13 急性の頭痛を起こす可能性が最も高いのはどれか。
- 複視
- 外斜視
- 緑内障
- 眼瞼下垂
③ 緑内障
【▼ポイント】
緑内障は眼圧の上昇などを原因として、視神経が萎縮し、不可逆的に視野が狭まり失明に至る疾病である。一般的に自覚症状がなく徐々に進行するが、眼圧が急上昇し、急性の頭痛といった症状を引き起こす場合、急速に重度の視力障害が進行する急性緑内障発作の可能性がある。
午前14 呼吸困難とはどれか。
- 脈拍数の増加
- 息苦しさの自覚
- 動脈血酸素分圧〈PaO2〉の低下
- 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の低下
② 息苦しさの自覚
【▼ポイント】
呼吸困難は、息苦しさやなど患者が感じる主観的な自覚症状で評価される。①、③、④は客観的な症状・指標である。
午前16 副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか。
- ジゴキシン
- インスリン
- フェニトイン
- ワルファリン
② インスリン
【▼ポイント】
インスリンは糖尿病患者等の血糖コントロールとして使用されるが、食事の量や時間、運動量などにより血糖値が正常範囲よりも低下し、冷や汗(発汗)や動悸、けいれんなどの低血糖症状を起こす可能性がある。
午前18 関節可動域〈ROM〉の単位はどれか。
- 回
- 度
- kg
- Cm
② 度
【▼ポイント】
関節可動域〈ROM〉は関節の生理的な運動範囲で、測定に当たっては可動域角度(単位:度)が用いられる。
午前19 女性患者の床上排泄で洋式便器をあてる位置を図に示す。

適切なのはどれか。
①
【▼ポイント】
差し込み便器は、床上で行う排泄の援助時に用いるもので、女性では高まっている幅の広い側を殿部にし、肛門が中央に位置するように差し込む。
午前20 シーツ交換時にシーツを引っ張る動作でボディメカニクスを応用した姿勢はどれか。
- 両足を前後に開き、両膝を伸ばす。
- 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
- 両足をそろえ、両膝を伸ばす。
- 両足をそろえ、両膝を曲げる。
② 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
【▼ポイント】
動作の安定には、両足を開くなどして体重を支える床面積(支持基底面)を広げること、腰を下げるなど支持基底面に重心を近づける(重心を低くする)ことで向上する。
午前21 生理食塩水の塩化ナトリウム濃度はどれか。
- 0.9%
- 5%
- 9%
- 15%
① 0.9%
【▼ポイント】
生理食塩水は0.9%塩化ナトリウムで、5%ブドウ糖液などと同様に、血漿と浸透圧がほぼ等しい等張液である。
午前22 血中濃度を確認する必要性が最も高い医薬品はどれか。
- アスピリン
- フロセミド
- テオフィリン
- インドメタシン
③ テオフィリン
【▼ポイント】
テオフィリンは気管支喘息の治療に用いられる治療薬で、気管支拡張作用や抗炎症作用を持つ。ただし、患者の年齢や併用薬物等により血中濃度が不安定となり、悪心や嘔吐などの副作用が生じることがあるため、テオフィリンの投与中は血中濃度の確認が必要である。
午前23 静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。
- 10〜30度
- 35〜40度
- 55〜60度
- 75〜80度
① 10〜30度
【▼ポイント】
静脈血採血では、21~23Gの太さの注射針を用いて、静脈血管の走行に合わせて10~30度の角度で刺入する。
午前24 体位ドレナージの直接の目的はどれか。
- 痛みの軽減
- 睡眠の導入
- 排痰の促進
- 廃用症候群の予防
③ 排痰の促進
【▼ポイント】
体位ドレナージは、痰が貯留した肺の部位を上にした体位をとり、重力により気道分泌物の排出(排痰)を促すことをいう。
午後5 社会的欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 帰属の欲求
- 睡眠の欲求
- 排泄の欲求
② 帰属の欲求
【▼ポイント】
マズローの欲求階層説では、低階層から、①生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求、②安全(危険回避)の欲求、③社会的(所属・愛情)欲求、④自尊(承認)の欲求、⑤自己実現の欲求の5段階となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。
午後6 乳幼児で人見知りが始まる時期はどれか。
- 生後1〜2か月
- 生後6〜8か月
- 生後18〜24か月
- 生後36〜42か月
② 生後6〜8か月
【▼ポイント】
生後6〜8か月ころの乳児期には身近な家族等の顔を見分け、応答的な愛着関係がみられるようになり、親から離されることへの分離不安や、知らない相手には人見知りがはじまる。
午後11 体温を調節しているのはどれか。
- 橋
- 小脳
- 中脳
- 視床下部
④ 視床下部
【▼ポイント】
視床下部は間脳に位置し、自律神経機能や内分泌機能の調節を行っている中枢で、体温調節や摂食・飲水行動の調節のはたらきなどを持つ。
午後12 意識障害がある患者への救命救急処置で最も優先されるのはどれか。
- 保温
- 輸液
- 酸素吸入
- 気道確保
④ 気道確保
【▼ポイント】
意識障害のある患者の場合、嘔吐物や唾液等による窒息を防ぐ観点からも、呼吸の確認の上で気道の確保が優先される。
午後13 低体温が起こるのはどれか。
- 尿崩症
- 褐色細胞腫
- 甲状腺機能低下症
- Cushing〈クッシング〉症候群
③ 甲状腺機能低下症
【▼ポイント】
低体温は、代謝の低下や外部環境の温度の低下、内分泌疾患(甲状腺機能低下症等)などにより深部体温に近い直腸温が35℃を下回った場合に診断される。なお、低体温時には熱産生を誘導するため、ふるえなどの生体反応が生じる。
午後14 チアノーゼが出現するのはどれか。
- 血清鉄の増加
- 血中酸素分圧の上昇
- 血中二酸化炭素分圧の上昇
- 血中還元ヘモグロビン量の増加
④ 血中還元ヘモグロビン量の増加
【▼ポイント】
チアノーゼは、血中の酸素不足により皮膚や粘膜が青紫色に変色することをいい、毛細血管中の還元ヘモグロビンが5g/dL以上に増加した際に出現する。
午後15 貧血の定義で正しいのはどれか。
- 血圧が下がること
- 脈拍を自覚すること
- 立ち上がると失神すること
- 血色素量が減っていること
④ 血色素量が減っていること
【▼ポイント】
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度(血色素量)が減少している状態と定義される。
午後16 抗癌薬の副作用(有害事象)である骨髄抑制を示しているのはどれか。
- 嘔吐
- 下痢
- 神経障害
- 白血球減少
④ 白血球減少
【▼ポイント】
骨髄抑制は、がん治療において抗癌薬などの薬物療法や放射線治療により、骨髄の造血機能が低下した状態をいい、白血球の減少では感染症、赤血球の減少では貧血、血小板の減少では出血などのリスクが高まる。
午後18 患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
- 専門用語を用いて説明する。
- 視線を合わせずに会話をする。
- 沈黙が生じたら会話を終える。
- 患者の非言語的な表現を活用する。
④ 患者の非言語的な表現を活用する。
【▼ポイント】
患者とのコミュニケーションにおいては、患者からの言語的・非言語的な情報を、否定的感情を含めて積極的に受け取ること(傾聴・観察)が重要である。
午後19 成人の安静時における所見で異常なのはどれか。
- 体温36.2℃
- 呼吸数12/分
- 脈拍116/分
- 血圧128/84mmHg
③ 脈拍116/分
【▼ポイント】
成人期の脈拍数の基準値(目安)は60~100/分とされ、116/分は異常脈拍(頻脈)である。①体温(36.0~37.0℃)、②呼吸数(12~20回/分)、④血圧(収縮期血圧140mmHg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上で高血圧症)は正常範囲である。
午後20 成人男性の間欠的導尿においてカテーテルを挿入する長さで適切なのはどれか。
- 6〜8cm
- 12〜14cm
- 18〜20cm
- 24〜26cm
③ 18〜20cm
【▼ポイント】
導尿カテーテルは尿道に挿入し、膀胱内の尿を排出させるチューブである。男性の導尿では、尿道が屈曲しているため、陰茎を腹膜に対し約90度引き上げて開始し、尿道の長さより少し長い約18~20cmを挿入する(女性は約4~7cm)。
午後22 成人の鼻孔から噴門までの長さで適切なのはどれか。
- 5〜15cm
- 25〜35cm
- 45〜55cm
- 65〜75cm
③ 45〜55cm
【▼ポイント】
鼻孔から噴門(胃の入り口)は、個人差もあるが45〜55cmとされる。鼻からチューブを挿入し、栄養剤を胃に送る経鼻経管栄養法では、チューブの先端を留置する長さを決める際に目安となる。
午後23 輸液ポンプに設定する項目はどれか。
- 流量
- 開始時刻
- 薬剤の濃度
- 薬剤の処方内容
① 流量
【▼ポイント】
輸液ポンプは、輸液や薬剤を一定の速度・正確な量で投与するための医療機器で、輸液ポンプに設定する項目は輸液の流量と予定量である。
午後24 医療用酸素ボンベと酸素流量計とを図に示す。

酸素の流量を調節するのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③ ③
【▼ポイント】
酸素の流量は、②の流量計をみながら、③の流量設定ダイヤルで調節する。なお、ボンベの取り違えを防ぐため酸素ボンベの色は黒と法令で定められている。また、酸素は燃焼を助ける性質が強いため、保管や使用に当たっては火気厳禁である。
午後25 直流除細動器の使用目的はどれか。
- 呼吸の促進
- 血圧の降下
- 不整脈の治療
- 意識レベルの評価
③ 不整脈の治療
【▼ポイント】
直流除細動器(DC)は、電気ショックにより不整脈を治療する装置で、医療機関内で用いられる。
資料 厚生労働省「第101回保健師国家試験、第98回助産師国家試験、第104回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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