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論文記事:経済協力開発機構方式を用いた都道府県別医療制度パフォーマンスの検討 201910-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第12号 2019年10月

経済協力開発機構方式を用いた
都道府県別医療制度パフォーマンスの検討

中島 尚登(ナカジマ ヒサト) 矢野 耕也(ヤノ コウヤ)

目的 経済協力開発機構(以下,OECD)は,日本の医療制度パフォーマンス(以下,PERF)の悪化を指摘しており,その現状を把握するため,都道府県別(以下,県)PERFを検討した。

方法 OECD方式に従って27指標を用い,指標別に平均値からの相対値(以下,RV)±2標準偏差(以下,SD)を求めて,PERFを評価した。

結果 北海道・東北で,-2SD>RVと悪いのは,北海道の喫煙率,青森の男・女平均寿命(以下,寿命),男・女65歳時平均余命(以下,65歳余命),喫煙率,岩手の30㎞圏救命救急センター人口カバー率(以下,人口カバー),入院の性・年齢調整標準化レセプト出現比・一般病棟7対1・10対1(以下,入院レセプト比),秋田の男寿命,人口カバー,山形の肥満率,福島の女虚血性心疾患(以下,心疾患)死亡率,肥満率,男・女心筋梗塞(以下,AMI)死亡率,+2SD<RVで良いのは,岩手と山形の抗菌剤販売量であった。関東で-2SD>RVは,栃木の男・女心疾患死亡率,埼玉の女心疾患死亡率,医師数,看護師数,東京のアルコール消費量(以下,飲酒量),大気汚染,神奈川の大気汚染,+2SD<RVは,埼玉と千葉の要介護認定率,東京の大腸がん生存率であった。中部で-2SD>RVは,福井の収入対医療費,石川の抗菌剤販売量,+2SD<RVは,福井の肥満率,長野の男65歳余命であった。近畿で-2SD>RVは,大阪の大気汚染,和歌山の女心疾患死亡率,収入対医療費,三重の周産期死亡率,+2SD<RVは,滋賀の男寿命であった。中国・四国で-2SD>RVは,鳥取の周産期死亡率,岡山の男AMI死亡率,徳島の抗菌剤販売量,高知の男AMI死亡率,+2SD<RVは,高知の入院レセプト比,後期高齢者医療制度医療費,看護師数,病院病床数であった。九州・沖縄で-2SD>RVは,長崎の要介護認定率,大分の入院受療費,宮崎の飲酒量,鹿児島の飲酒量,人口カバー,沖縄の肥満率,大腸がん生存率,+2SD<RVは,福岡の後期高齢者医療制度医療費,佐賀の医療費地域差指数,大分の入院レセプト比,沖縄の女65歳余命,入院レセプト比であった。

結論 健康状態7指標のうち,4以上RVが悪いのは,青森,秋田,福島,栃木,和歌山,リスク要因4指標のうち,3以上悪いのは青森,医療へのアクセス5指標のうち,3以上悪いのは栃木,医療の質6指標のうち,4以上悪いのは岡山,医療資源5指標のうち,3以上悪いのは茨城,栃木,埼玉,千葉,東京,静岡,愛知であった。特に健康状態,医療へのアクセス,医療資源が悪い栃木,健康状態とリスク要因が悪い青森では,PERF全体が悪く,早急な対応が必要である。

キーワード 医療制度パフォーマンス,健康状態,リスク要因,医療へのアクセス,医療の質,医療資源

 

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