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論文記事:心の健康問題で休職した看護師の現場復帰支援の現状と課題 201910-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第66巻第12号 2019年10月

心の健康問題で休職した看護師の
現場復帰支援の現状と課題

木村 恵子(キムラ ケイコ) 榎本 敬子(エノモト ケイコ) 三上 章允(ミカミ アキチカ)

目的 心の健康問題で休職した看護師の現場復帰状況の現状と課題を検証することが本研究の目的である。

方法 岐阜県内の200床以上の20病院518名の役職看護師(看護師長,主任,業務リーダー)を対象に心の健康問題で休職した看護師の現場復帰支援の状況に関する自記式質問紙調査を2016年1~3月に実施し,20病院316名(回収率61.0%)から回答を得た。その中で無効回答が顕著なケースを除く286名を解析対象とした。統計検定にはKruskal-Wallis検定,Mann-WhitneyのU検定を用い,統計的有意水準は5%とした。

結果 心の健康問題で休職した看護師の現場復帰率は54.5%であり,そのうち休職と現場復帰を繰り返している看護師は13.9%であった。一方,退職率は41.6%であり,休職後現場復帰した看護師より高かった。看護師のメンタルヘルス対策への役職看護師の参加率は30.4%と低かった。参加者の内訳では特に業務リーダーが4.4%と低かった。不参加理由は「対策を必要としていない」が66.3%を占めた。心の健康問題で休職した看護師に対応する職種は看護師長が86.0%を占め,看護師以外の職種は15.0%にとどまった。現場復帰支援の方法は「個人の力量で行っている」が44.1%で多かった。現場復帰支援の経験率は,役職看護師間で違いがあった。現場復帰後の問題発生率は,多数の項目で80%以上となった。「復職可能となった判断基準」での問題の発生については,役職看護師間で発生率に統計的に有意な差があった。現場復帰支援未経験の役職看護師で,統計的に有意に問題発生率が高かった。

結論 役職看護師の約7割はメンタルヘルス対策の必要がないと認識していた。現場復帰支援は,病院全体で行われず看護師が独自に支援している現状であった。そのため,役職看護師間の復職可能基準の共通認識がなく,現場復帰後の業務に問題が発生していた。さらに復帰基準がないことにより,現場復帰支援未経験の役職看護師が心の健康問題で休職した看護師の受け入れについて不安や偏見を持つことにつながる可能性がある。役職看護師の職階によって,病気情報開示の範囲に差が生じていた。そのため,現場復帰した看護師の病状を直接対応する現場看護師が知らされていないことで業務上の問題を生じ,さらに再休職や退職の要因となることが示唆された。心の健康問題で休職した看護師の現場復帰支援が十分に行われず,順調に現場復帰できる環境が整っていないことが示唆された。

キーワード 心の健康問題,看護師,休職,現場復帰支援,メンタルヘルス対策

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