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論文記事:就労継続支援事業所に通所する精神障がい者における災害時の症状マネジメントと必要な支援 201912-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第66巻第15号 2019年12月

就労継続支援事業所に通所する精神障がい者における
災害時の症状マネジメントと必要な支援

中井 寿雄(ナカイ ヒサオ) 板谷 智也(イタタニ トモヤ)
濱田 衿菜(ハマダ エリナ) 西岡 由江(ニシオカ ヨシエ)

目的 就労継続支援事業所に通所する精神障がい者の,災害時の症状マネジメント,精神障がいによる生活のしづらさやこだわり,災害時の支援の必要性を明らかにすることである。

方法 対象地域は,南海トラフによる大津波の被害が想定されている太平洋側に位置するB市とした。対象者は,精神障がいによりA障害福祉サービス事業所(事業所)に通所する精神障がい者37人だった。調査方法は,K-DiPSシートを用いた聞き取り調査を行った。聞き取りは事業所の看護師に依頼した。K-DiPSシートとは,在宅療養者が,生活支援を担当している専門職と一緒に記入することで,災害時に必要となる医療機器や処置,材料,投薬,生活上の留意点などを把握することができるシートである。精神障がい者版は,災害時の症状マネジメント,精神障がいによる生活のしづらさやこだわり,災害時に必要な支援の必要性が含まれている。

結果 対象者の約68%が,自分の病状悪化の徴候を知っており,約57%が,自分の病状悪化をイメージでき,73%が,対処ができると考えていた。一方で,一般避難所で生活できると答えた者は約22%だった。したがって,症状マネジメントができる者も,一般の避難所では生活できないと考えている可能性がある。80%以上の者が,服薬行動に生活のしづらさやこだわりを持っており,約95%の者が災害時に支援が必要と考えていた。約68%の者が,運動,仕事等と休息・睡眠に生活のしづらさやこだわりを持っており,災害時に支援が必要と考えていた。

結論 服薬を継続するための支援ができる専門職の配置と,平時から自分の薬剤を備えておける仕組みの必要性が示唆された。

キーワード 精神障がい者,災害,症状マネジメント,就労継続支援事業所

 

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