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論文記事:自主継続型運動教室の参加状況の違いがその後の要介護認定に与える影響 202006-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第67巻第6号 2020年6月

自主継続型運動教室の参加状況の違いが
その後の要介護認定に与える影響

田島 聖也(タシマ マサヤ) 安田 俊広(ヤスダ トシヒロ)

目的 介護予防を目的とした高齢者対象介護予防運動教室の参加者において,教室への参加状況の違いがその後の要介護認定率に与える影響を明らかにすることを目的とした。

方法 2011年7月から2015年3月の期間において,福島県伊達市の高齢者対象介護予防運動教室に参加経験のある834名を対象者とし,1年度内に50回以上の参加経験を有する者202名(74.2±5.5歳)を参加群とし,1年度内に50回以上の参加経験のない者632名(72.6±5.6歳)を不定期参加群に群分けした。さらに不定期参加群の内,2015年4月時点で参加していない者398名(72.7±5.8歳)を不参加群として抽出した。分析は,累積介護認定率,リスクファクターのハザード比を算出して介護予防効果を検証した。累積介護認定率は,対象期間の自立と認定を追跡し,Kaplan-Meier法により各群の推移を比較した。群間の有意差検定は,ログランク検定と一般化ウィルコクソン検定を用いた。また,ハザード比はCox比例ハザードモデルを用いて,目的変数に要介護認定の有無(自立=0,認定=1),説明変数に年齢(+1),性別(女=0,男=1),教室参加状況(0=参加群,1=不定期参加群)を設定して尤度比による変数増加法にてハザード比を算出した。

結果 Kaplan-Meier法による累積要介護認定率は,観察期間48カ月時点において参加群7.3%,不定期参加群12.9%,不参加群18.8%であり,参加群と不参加群の間において統計的有意差が認められた。Cox比例ハザードモデル分析の結果,性別は変数選択の段階で排除され,年齢が1歳増加した時のハザード比は1.20倍であった。また,教室参加状況において参加群と比較した際の不定期参加群のハザード比は2.99倍であった。

結論 高齢者対象介護予防運動教室における要介護認定を受けた者の割合を比較,検討したところ,Cox比例ハザードモデル分析の結果から,不定期参加群は参加群より3倍要介護認定を受けやすいという結果となった。しかし,本研究の限界により,週1回以上の運動教室への参加が要介護認定を遅延させると結論づけることはできなかった。

キーワード 高齢者,要介護認定,介護予防運動教室,Kaplan-Meier法,Cox比例ハザードモデル

 

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