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論文記事:履歴書等データに基づく認知症対応型共同生活の介護職の採用者と早期離職者の特性 202009-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第67巻第11号 2020年9月

履歴書等データに基づく認知症対応型共同生活の
介護職の採用者と早期離職者の特性

渡邊 裕文(ワタナベ ヒロフミ)

目的 介護職の早期離職者数の削減を目的として,認知症対応型共同生活介護の施設への介護職としての入職希望者について,履歴書データを用いて,採用者・不採用者,早期離職者の特性を分析した。

方法 Aグループホームに開設当初より2018年3月までに残されていた介護職としての入職希望者の履歴書に書かれている内容を用いて分析を行った。本分析では,全履歴書データ(328通)のうち,開設当初で職員を多く採用していた3年間,性別,年齢に欠損のあるデータを除いた189名分の履歴書データを用いた。「採用・不採用」「勤続年数」を従属変数とし,履歴書に書かれている「性別」「年齢」「学歴」「転職回数」「福祉転職回数」「保有資格」の履歴書データを独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。また,志望動機欄の記載内容について,テキストマイニングによる分析を合わせて行った。

結果 採用・不採用について分析の結果,年齢,保有資格について,採用・不採用との間に統計学的に有意な関連が認められた。他の独立変数の影響を除いて,30歳代に比べて20歳代以下,40歳代がそれぞれ5.52倍(95%CI:1.75-17.35),3.02倍(95%CI:1.04-8.72)採用されやすいことがわかった。統計学的に有意ではないが,50歳代以上は2.88倍(95%CI:0.93-8.92)採用されやすくなっている。テキストマイニングでは,「認知症」「高齢者」「家庭」など認知症対応型共同生活介護の本質に関するキーワードを記載している人が採用されていた。早期離職について分析の結果,保有資格との統計学的に有意な関係がみられ,ヘルパー等の資格を持つものは,6.93倍(95%CI:1.39-34.49)早期離職しやすいという結果が得られた。また,統計学的に有意ではないが,福祉関係の転職回数が2回以上の人は0.61倍,つまり福祉関係の転職経験が1回以下の人は1.64倍早期離職しやすくなっている。性別,年齢,学歴については,統計学的に有意な関係はみられなかった。テキストマイニングでは,「認知症」「人生」「関わる」「力づける」「施設見学」といった他者との関わりや理解,意欲に基づくと考えられる単語を記載している人が,早期離職していなかった。

結論 介護職の早期離職には,これまで施設の対応や施設内での人間関係が論じられてきた。今回の分析で,入職希望者の個人的特性や保有資格,転職経験との関連性が確認され,早期離職を減らすためには,介護職へ入職する前の段階での教育や体験の必要性が示唆された。

キーワード 認知症対応型共同生活介護,個人の特性,介護職,保有資格,転職回数,ロジスティック回帰分析

 

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