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論文記事:Sense of coherence(SOC)における有意味感は高齢者のMental well-beingを促進する 202204-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第4号 2022年4月

Sense of coherence(SOC)における有意味感は高齢者の
Mental well-beingを促進する

大片 久(オオカタ ヒサシ) 澤田 陽一(サワダ ヨウイチ)
矢嶋 裕樹(ヤジマ ユウキ) 坂野 純子(サカノ ジュンコ)

目的 本研究では,高齢期のポジティブな精神的健康を表すMental well-being(MWB)を促進する心理社会的要因を検討した。中でも,Sense of coherence(SOC)の合計点(1因子)のみならず,3つの下位因子(有意味感,把握可能感,処理可能感)の得点がMWBに与える影響も検討した。

方法 2019年2~11月に,地域在住の60歳以上の高齢者567名を対象とし,自記式質問紙による横断調査を実施した。質問内容には基本属性(年齢,性別,教育歴,婚姻状況,就労状況,暮らし向き,同居家族の有無)の他,MWBを捉えるMental Health Continuum14項目短縮版(MHC-SF)とネガティブな精神的健康を捉えるK6,身体的健康状態(疾患の有無,運動器機能,低栄養状態,口腔機能),社会関係の豊かさを評価するSocial Provisions Scale(SPS)12項目短縮版およびSOC13項目短縮版を盛り込んだ。統計解析として,目的変数にMHC-SFの得点(また,補足解析としてK6の得点)を,説明変数に基本属性,身体的健康状態,社会・環境的要因(同居家族の有無,SPS得点),SOC得点(あるいは3つの下位因子得点)を段階的に強制投入した階層的重回帰分析を実施した。

結果 統計解析には,欠損のない543名のデータを用いた(有効回答率95.8%)。階層的重回帰分析の結果,ポジティブな精神的健康を表すMWBの促進に影響を与えていたのは,SOC(β=0.421,p<0.05)あるいは有意味感(β=0.401,p<0.05),SPS得点(SOC1因子時:β=0.115/下位3因子時:β=0.082,p<0.05),暮らし向き(SOC1因子時:β=0.086/下位3因子時:β=0.085,p<0.05)であった(SOC1因子時:R2=0.266/下位3因子時:R2=0.307)。一方,ネガティブな精神的健康(K6得点)の抑制に影響を与えていたのは,SOC(β=-0.558,p<0.05)あるいは有意味感(β=-0.125,p<0.05),把握可能感(β=-0.327,p<0.05),処理可能感(β=-0.203,p<0.05)であった(SOC1因子時:R2=0.369/下位3因子時:R2=0.376)。

結論 本研究により,ポジティブな精神的健康およびネガティブな精神的健康に対するSOCの影響は強く,また,それぞれに与える下位因子の影響は異なっていた。特に,高齢期のMWBの促進にはSOCの下位因子の中でも,有意味感が重要であることが明らかとなった。

キーワード 高齢者,ポジティブな精神的健康,Mental well-being,Sense of coherence,有意味感

 

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