一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供 - 論文記事:世帯所得階級別にみた児童の食生活の比較-貧困周辺層を含めた分析- 20260603

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論文

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第73巻第6号 2026年6月

世帯所得階級別にみた児童の食生活の比較

-貧困周辺層を含めた分析-

内山 真理(ウチヤマ マリ) 上原 美子(ウエハラ ヨシコ)

目的 本研究の目的は,これまで十分に検討されてこなかった貧困周辺層を含め,世帯所得階級による児童の食生活の違いを男女別に明らかにすることである。

方法 2018年に埼玉県福祉部少子政策課が実施した「子どもの生活に関する調査」における小学5年生3,824名(男子1,887名,女子1,937名)の匿名データを用い,男女別に分析を行った。世帯所得階級は,等価可処分所得の推定値に基づき,貧困層,貧困周辺層,中層,高層の4群に分類した。基本属性,健康状態・生活の関連はχ2検定と残差分析を用いた。朝食および食品群別摂取頻度の比較にはKruskal-Wallis検定を用い,有意差が認められた場合にはMann-WhitneyのU検定による多重比較を実施し,Bonferroni法による補正を行った。

結果 貧困周辺層の割合は男子38.3%,女子39.3%で,男女ともに最も高い割合を占めていた。世帯所得階級と性別との間に有意な関連は認められなかった。世帯所得階級と基本属性の関連では,いずれの項目も有意な関連が認められ,貧困層や貧困周辺層では暮らし向きが「大変苦しい・やや苦しい」と回答した割合が高かった。健康状態では,女子の高層で「健康だと思う」,朝に食欲がないことが「まったくない」の割合が最も高かった。朝食を「毎日食べる」割合は男女とも貧困層で最も低く,女子では貧困層と貧困周辺層の間に有意差が認められた。食品群別摂取頻度では,男子において貧困層だけでなく貧困周辺層でも高層に比べて魚・肉・卵・大豆,牛乳・乳製品,野菜の摂取頻度が有意に低かった。一方,貧困層および貧困周辺層の甘い飲み物やインスタントラーメン,ファストフードの摂取頻度は,男女ともに高層に比べ有意に高かった。

結論 世帯所得階級別の比較から,男女ともに貧困層のみならず貧困周辺層の児童においても食格差が存在し,健康上の不利を受けやすい可能性が示唆された。今後は健康格差の縮小に向けて,健康的な食品を手頃な価格で選択しやすい食環境を整備することが重要である。

キーワード 世帯所得階級,貧困周辺層,児童,食格差

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