一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供 - 論文記事:都市ほど児童虐待に気づきやすいのか?-児童虐待の兆候察知経験と人口密度の関連性- 20260801

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論文

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第73巻第8号 2026年8月

都市ほど児童虐待に気づきやすいのか?

-児童虐待の兆候察知経験と人口密度の関連性-

松田 昌史(マツダ マサフミ) 奥村 優子(オクムラ ユウコ)
樋口 大樹(ヒグチ ヒロキ) 小林 哲生(コバヤシ テッセイ)

目的 児童虐待の通告件数には地域差があり,人口密度の高い地域(都市部)ほど人口当たりの通告件数が多いという報告がある。しかし,通告件数の地域差に及ぼす要因の特定は定量的に行われていない。虐待通告には,周囲が虐待兆候に気づく段階と,実際に通告する段階があると考えられるが,本研究では前者に着目して,人口密度の高い地域の方が児童虐待の兆候に気づきやすいのかを検証した。

方法 全国の成人5,500名(各都道府県110~330名)を対象に,過去3年間に児童虐待を見聞きした経験の有無と,居住市区町村の回答をWeb調査で実施した。居住地ごとに児童虐待を見聞きした者の割合を求め,人口密度との関連を分析した。

結果 児童虐待を見聞きした者の割合と人口密度の間には有意な正の相関がみられた。回答者の都道府県を分析単位とした場合はr=0.38(p<0.01),市区町村の場合はρ=0.48(p<0.05)であった。

結論 人口密度の高い地域ほど児童虐待の兆候に気づきやすいことが示され,児童虐待通告件数の地域差は通告への忌避感などの心理的要因のみでは説明できないことが示唆された。虐待兆候への気づきやすさに関与する要因は複数想定されるが,そのひとつとして近隣住宅との物理的距離の近さに起因する発見しやすさが寄与している可能性が考えられた。

キーワード 児童虐待,通告,人口密度,Web調査,虐待兆候,地域差

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