一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供 - 論文記事:2009~2024年の月別死亡からみたCOVID-19超過死亡とその要因 20260804

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第73巻第8号 2026年8月

2009~2024年の月別死亡からみた
COVID-19超過死亡とその要因

逢見 憲一(オオミ ケンイチ)

目的 2020年以降世界的に流行しているCOVID-19によるわが国の健康被害を定量的に把握する。

方法 2009年から2019年までの男女別月別年齢階級別死亡率を算出し,月ごとに重回帰分析を行ったうえで,外挿により,2020年以降の予想死亡率を算出し,実際の死亡率との差を超過死亡率とした。

結果 2020年の超過死亡数(2020年男女別人口換算,以下同じ)は,男が9,908人,女が-5,739人と,女が負の超過死亡を示していた。一方,2021年,2022年,2023年,2024年の超過死亡は,男が48,539人,109,345人,108,581人,116,896人,女が27,777人,88,060人,82,232人,83,672人と,男女とも2024年の超過死亡が2023年を上回っていた。男女とも2022年以降は,月別COVID-19死亡数と超過死亡数の間に,強い相関,もしくは非常に強い相関がみられた。

結論 わが国では,COVID-19流行の始まった2020年には,年齢調整死亡率は減少して負の超過死亡を示していた。これは人の流れの抑制等により,COVID-19ばかりでなく,インフルエンザ超過死亡などが減少したためと考えられる。また,COVID-19対策としての行動抑制が全死亡を大きく減少させ,COVID-19を含む飛沫感染・空気感染に関して,いわゆる“ミルズ・ラインケ現象”に類似した現象が生じていた,と考えることも可能であろう。超過死亡数は,2022年から2024年まで,毎年,男女合計で20万人近くに達していた。また,超過死亡数の合計は,2020年から2024年までで66万9千人に達しており,単純に超過死亡者数でみる限り,20世紀初めの“スペインかぜ”の超過死亡数(50万人弱)を上回っていた。2022年以降,COVID-19死亡数と超過死亡数の間に強い相関,もしくは非常に強い相関がみられた。これは,超過死亡が,COVID-19死亡と強く関連して生じていることを示唆している。裏を返すならば,超過死亡が,巷間いわれているように,患者が医療機関の収容能力を超えたため生じている,あるいは,COVID-19予防接種により生じている,という可能性は低いことを示していると考える。

キーワード COVID-19,インフルエンザ,超過死亡,ミルズ・ラインケ現象,スペインかぜ,予防接種

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