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第58巻第8号 2011年8月

女性医師割合の高い診療科(眼科・皮膚科・麻酔科)に
おけるキャリアパスについて

児玉 知子(コダマ トモコ) 小池 創一(コイケ ソウイチ) 松本 伸哉(マツモト シンヤ)
井出 博生(イデ ヒロオ) 康永 秀生(ヤスナガ ヒデオ) 今村 知明(イマムラ トモアキ)

目的 本研究では,医師・歯科医師・薬剤師調査(以下,三師調査)コホートデータを用いて比較的女性医師割合の高い眼科,皮膚科,麻酔科における女性医師のキャリアパスを検討し,医籍登録後(以下,登録後)の就業における動態を把握する。

方法 1984年,1994年,2004年の三師調査において診療科の女性医師割合を年齢階級別に比較した。さらに,医籍登録番号で統合されたコホートデータを作成し,女性医師割合の高い眼科,皮膚科,麻酔科について,1984年医籍登録者と1994年医籍登録者における女性医師の就労継続,復職,休職,診療科の届け出変更について分析した。

結果 2004年調査における女性医師割合は,眼科36.8%,皮膚科38.0%,麻酔科29.1%と高率であった。1984,1994,2004年時の女性医師割合を年齢階級別に比較したところ,すべての年齢階級において眼科には有意差がなく,皮膚科,麻酔科では有意な女性医師割合の増加がみられた。特に29歳以下の若年齢層においては眼科51.5%,皮膚科68.4%,麻酔科46.8%と高率であった。1984年医籍登録者と1994年医籍登録者の登録後10年時における在職率の比較では,眼科において1994年登録者で有意に高かった。1984年登録者の20年後の在職率は,眼科で95%,皮膚科で107%(中途参入含む),麻酔科で55%であった。麻酔科では登録後4~6年時で診療科の変更が多く,眼科から他科への変更は1%未満と低率であった。隔年調査での平均復職率は,眼科12%,皮膚科18%,麻酔科10%であり,麻酔科で休職率が復職率を上回っていた。

結論 眼科,皮膚科,麻酔科においては女性医師の割合が高く,特に眼科,皮膚科では登録後20年時の在職率が非常に高いことが明らかとなった。離職のピークは眼科,皮膚科においては登録後8~10年であり,麻酔科においては明らかなピークは認めなかった。女性医師の継続就労,休職,復職パターンは診療科によって異なる可能性があることが示唆された。

キーワード 女性医師,キャリアパス,医師・歯科医師・薬剤師調査,眼科,皮膚科,麻酔科

 

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