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第50巻第13号 2003年11月

大阪府守口市での医師会会員と市民の
「がん告知」に関する意識調査

寺西 伸介(テラニシ シンスケ) 吉田 宗永(ヨシダ ムネナガ) 中村 泰清(ナカムラ ヤスキヨ)
森崎 堅太郎(モリサキ ケンタロウ) 佐藤 正(サトウ タダシ) 辻 瀧太郎(ツジ タキタロウ)

目的 古くより「がんの告知」の問題は,医師にとっては大きなテーマであり,時代の流れとともに,その意識に変化がみられる。今回,大阪府守口市において,死を目前にした末期がんを想定して医師会会員と住民に対し,そのような場合の「がん告知」に関する意識を調査し,比較することによって,地域医療を担う医師が「がん告知」の場に直面した際に,どのように対応すればよいのかを検討することを目的とした。
対象と方法 本調査の対象は守口市医師会開業医会員(会員)145人と守口市在住住民(市民)1.500人で,アンケート調査を行った。内容は会員と市民のいずれにも共通の調査項目を3問設定し,会員にはさらに1間を追加した。すなわち,「がん告知」対象が問1は自分自身の場合,間2はパートナーへの場合,開3は第三者への場合について質問調査した。間4は会員のみに対する質問で,現在,実際に告知するようにしているかを聞いた。
結果 自分自身が対象の立場では「告知を希望する」と答えた人は,会員が83%で,市民が74%と大半を占めた。対象がパートナーの場合では,「告知をする」という意見は会員が47%,市民が40%で,いずれも最も多数を占めた。しかし,「告知をしない」という割合は,会員が15%で市民が33%と,市民の方が2倍強も多かった。対象が第三者の場合では,会員と市民とで大きく差がみられ,第三者に「告知すべき」としたのは,会員が26%で市民が40%であり,市民の方が14ポイントも多かった。「告知すべきでない」とした人は,会員が54%で,29ポイントも市民を上回り,過半数を占めた。このように,市民はいずれの立場に立っても,告知を希望するという意識が現れていた。これらの告知希望の理由として,病気のことを十分知りたい,がんと戦いたいという回答が多かった。また,対象が本人の場合よりパートナーの場合,第三者の場合において,会員と市民の考え方が大きく相違していた。
結論 会員と市民との「がん告知」の意識の相違は医師にとって憤重な対応が過られるものである。患者の人権や自己決定棒を念頭におき,告知後の支援も考慮した上で,思いやりのある丁重を告知を患者の立場に立って,まず,本人に告知し,本人の希望があれば家族にも告知をすることが妥当であると考えられた。また,伝えた後.どのように患者に対応し,授肋していくかという告知の質についても考慮しなければならか、。
キーワード がん告知.アンケート調査,意識調査,自己決定権,インフォームド・コンセント

 

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