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第60巻第8号 2013年8月

都内勤労者における高血圧と各種健康行動との関連

-性・年齢別の比較-
田島 美紀(タジマ ミキ) 李 廷秀(リ チョンスゥ) 渡辺 悦子(ワタナベ エツコ)
髙山 真由子(タカヤマ マユコ) 深堀 敦子(フカホリ アツコ) 土屋 瑠見子(ツチヤ ルミコ)
朴 淙鮮 (パク ジョンソン) 片岡 裕介(カタオカ ユウスケ) 森 克美(モリ カツミ)
川久保 清(カワクボ キヨシ)

目的 高血圧該当者割合は加齢とともに増加し,30歳以上の人口の5割に及ぶ。高血圧の予防・改善のためには適正体重の維持,身体活動,節酒,減塩等の健康行動が推奨されているものの,その実施状況は性・年齢により異なり,高血圧との関連も異なることが考えられる。本研究は都内勤労者における高血圧と健康行動との関連を性・年齢別に明らかにすることを目的とした。

方法 都内A健診機関において,2008年度または2009年度の健診を受診した30~69歳の男女11,399人を対象とした。健診結果より高血圧(収縮期血圧≧140㎜Hg,拡張期血圧≧90㎜Hg,降圧剤服用中のいずれかに該当),肥満(BMI≧25㎏/㎡),各種健康行動(20歳からの体重増加,喫煙習慣,飲酒習慣,運動習慣,身体活動,歩行速度,夜間間食,就前食事,朝食欠食,食事速度,睡眠による十分な休養)に関するデータを収集した。分析対象者の年齢を10歳ごとに区分し,性・年齢別に高血圧と健康行動との関連を年齢とBMIを調整した多重ロジスティック回帰分析にて検討した。

結果 分析対象者9,840人(男性60.7%)のうち高血圧該当者の割合は男性28.9%,女性14.2%であった。肥満であることはすべての性・年齢で高血圧と有意な正の関連がみられた。年齢とBMIを調整した結果,20歳からの体重増加が10㎏以上あることは男性の30歳代で,酒をほぼ毎日男性2合以上,女性1合以上飲むことは男性の40~60歳代と女性の40歳代で高血圧と有意な正の関連がみられた。身体活動を毎日1時間以上行っていないことと食事速度が速い・普通であることは男性の50歳代で,運動習慣がないことは男性の60歳代で高血圧と有意な正の関連がみられた。喫煙習慣があることと高血圧とは男性30・50歳代,女性の50・60歳代で有意な負の関連がみられた。その他の健康行動と高血圧との間には有意な関連はみられなかった。

結論 すべての性・年齢において肥満は高血圧のリスクを高めることが再確認された。各種健康行動と高血圧との関連は性・年齢別に異なることが示され,男性30歳代は体重増加の予防,男女ともに40歳代からリスクの低い飲酒の仕方,男性50歳代は身体活動量の確保と食事速度を意識的に遅くすること,男性60歳代は運動を定期的に行うことが重要であり,性・年齢を考慮した高血圧対策の支援が必要である。

キーワード 勤労者,健康行動,高血圧,性,年齢,肥満

 

論文