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第58巻第13号 2011年11月

日本成人男性におけるHIVおよびAIDS感染拡大の状況

-MSM(Men who have sex with men)とMSM以外の男性との比較-
塩野 徳史(シオノ サトシ) 金子 典代(カネコ ノリヨ) 市川 誠一(イチカワ セイイチ)

目的 わが国におけるMSM(Men who have sex with men,これまでに同性間性的接触を有する男性)人口を推定し,さらに感染経路別にHIV感染者とAIDS患者の有病率,罹患率の推計に資するデータを得ることによって,日本成人男性におけるHIVおよびAIDS感染拡大の状況の一端を明らかにする。

方法 東北,関東,東海,近畿,九州の5地域に在住する20~59歳の日本成人男性を対象として,郵送法による質問紙調査を実施しMSMの割合を算出した。得られたMSMの割合と国勢調査人口を用いてMSMの人口を推定した。そしてエイズ動向委員会による報告を基に,日本国籍MSMとMSM以外の男性(日本国籍の男性からMSM人口を除いた男性全体)におけるHIV感染とAIDSの有病率と罹患率をそれぞれ推計し比較した。

結果 質問紙調査の有効回答者は1,659人(回収率:44.8%)であり,MSMの割合は全体で2.0%(95%信頼区間:1.32-2.66%)であった。MSM割合について居住地域間での統計学的な有意差はみられなかった(p=0.170)。質問紙調査により得たMSMの割合2.0%を日本成人男性のMSM割合と仮定して有病率と罹患率をそれぞれ算出したところ,MSM以外の男性に比べてMSMは,HIV有病率では96倍,AIDS有病率では33倍の高さであった。罹患率については,MSM以外の男性では2001~2008年度の間にHIV罹患率は0.5~0.7,AIDS罹患率は0.3~0.5と大きな変化はみられなかった。一方,MSMでは,HIV罹患率は42.6(2001年)から103.7(2008年)と8年間で2.4倍,AIDS罹患率は11.6(2001年)から23.9(2008年)と8年間で2.1倍に拡大していた。

結論 20歳から59歳における日本成人男性のMSM割合の推定と,推定MSM人口を母集団としたHIVおよびAIDSの有病率と罹患率を算出した。日本人男性の中ではMSM集団において,HIV感染が拡大し,AIDS患者が増加していることが示された。わが国においてはMSM集団を対象としたHIVおよびAIDS対策を早急に実施していくことが重要である。

キーワード HIV感染症,AIDS,有病率,罹患率,MSM,MSM割合

 

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