第56巻第2号 2009年2月 新型インフルエンザ等に関するインターネットを利用した質問紙調査山上 文(ヤマガミ フミ) 堀口 逸子(ホリグチ イツコ)鈴木 建彦(スズキ タケヒコ) 丸井 英二(マルイ エイジ) |
目的 新型インフルエンザ等への対策を早急に講じるため,インフルエンザ,鳥インフルエンザ,新型インフルエンザに関する国民の知識の現状を把握することを目的とした。
対象と方法 gooリサーチに公募によって登録している20歳台から50歳台消費者モニター1,019人を対象としたインターネット調査で,2006年8月21日から2006年8月22日にかけて実施した。質問は,流行状況,国内発生,感染経路,予防方法,対処方法(行動),治療法の有無,法律の有無とその内容など,全40問である。回答は「はい」「いいえ」の二者択一形式である。
結果 インフルエンザに関して各問の平均正答率は約90%であったが,鳥インフルエンザ,新型インフルエンザの平均正答率は約70%であり,正答率が50%程度に満たない問いもあった。新型インフルエンザに関しては,「新型インフルエンザとは,現在,ヒトに感染している鳥インフルエンザのことである」「これまで鶏肉を食べて鳥インフルエンザに感染した例はない」「新型インフルエンザに対するワクチンは,現在病院で接種することができる」などの正答率が低く,誤った知識を得ていた。
結論 インターネット調査は,迅速性と簡便かつ低コストという点から,早急に対策を講じる必要がある際に活用できると考えられた。インフルエンザと,鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザにおいて正答率に差異がみられたのは,インフルエンザが毎年流行が起こる身近な問題であるのに対し,鳥インフルエンザや新型インフルエンザは最近知られるようになったからだと考えられる。報道や,流行の経験などで,知識の獲得に差が生じることが推察された。
キーワード 新型インフルエンザ,鳥インフルエンザ,インフルエンザ,インターネット調査,普及啓発