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第52巻第6号 2005年6月

救急搬送者の追跡調査

細田 武伸(ホソダ タケノブ) 藤田 利治(フジタ トシハル) 谷畑 健生(タニハタ タケオ)
武本 和之(タケモト カズユキ) 足立 三紀(アダチ ミキ) 亀崎 幸子(カメザキ サチコ)
小谷 和彦(コタニ カズヒコ) 黒沢 洋一(クロサワ ヨウイチ) 能勢 隆之(ノセ タカユキ)

目的 本調査は,救急搬送車の救急車要請要因および傷病程度別分類(重症,中等症,軽症)と実際の傷病程度別分類の定義による入院期間の一致の割合,救急車の要請要因(一般的属性,特異的属性),救急車が有料になった場合の使用の是非等について把握することを目的として実施した。
方法 調査対象は,鳥取県広域行政管理組合消防局の救急搬送記録に記載されている鳥取県西部地区(2市12町村)で搬送された平成13年の救急搬送者6,948人から,その他(医療機関の要請による転院搬送者),死者,海外居住者,住所不定者,重複利用記録分を除外し,残った5,450人を傷病程度別に分け,系統抽出法により2分の1を抽出した,2,725人(重症474人,中等症1,080人,軽症1,171人)とした。平成14年8~9月に,郵送法による自記式無記名の質問紙調査を行った。督促を1回行った。不配達分を除いた回収率は,56.3%であった。
結果 傷病程度別分類と救急車要請要因でクロス表を作成し比較した。χ􌛌検定にて有意であった項目は,「要請するまでの時間」(p<0.05),「居住形態」(p<0.01),「年齢」「居住地区」「住居形態」「要請者」「要請手段」「要請原因」「要請理由」(いずれもp<0.001)であった。「病気の症状が発生してからまたはけがにあってから要請するまでの時間」の項目では,重症の者ほど,その時間が長い傾向があることが推測された。「搬送先医療機関希望の有無」では,56.1%の者が搬送先の医療機関を指名し搬送を希望しており,重症の者ほど,搬送先を希望する傾向があった(p<0.05)。搬送者が搬送時に区分された傷病程度別分類と分類の定義に従った実際の入院期間は,重症で21日以上入院または入院中に死亡した者は63.4%,中等症で1~20日入院した者は38.4%,軽症で実際に入院をしなかった者は65.2%であった。「有料使用の是非」では,軽症の者は14.4%が有料になったら救急車を使用しないと答えていた。
結論 現行の傷病程度別分類を用いて傷病者の増加・減少を論ずるには一考を要すると思われた。救急搬送された高齢の者は,重症でかつ予後も悪い傾向にあることが示唆された。疾病の予防や介護も含め高齢社会に対応した救急医療体制を構築することが急務と思われた。
キーワード 救急搬送車,救急車,追跡調査

 

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