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第52巻第2号 2005年2月

高齢者におけるウエスト身長比の適性と判定基準

中山 晃志(ナカヤマ テルユキ) 藤澤 洋徳(フジサワ ヒロノリ) 緒方 可奈子(オガタ カナコ)

目的 肥満指標の1つにウエスト身長比(=ウエスト周囲径╱身長,以下「WHt比」)があり,0.5が肥満の判定基準として用いられている。しかし,加齢に伴い腹筋力の低下や腹部脂肪のゆるみによるウエスト周囲径の増加は避けられず,高齢者のWHt比は若年・中年者に比べて大きくなる傾向にあると考えられるため,高齢者における肥満指標としてのWHt比の適性と判定基準について検討することを目的とした。
方法 基本健康診査の実施時に協力の得られた男性228人(うち65歳以上181人),女性421人(同290人)を対象として,回帰分析を使用した年齢によるWHt比の差異,ロジスティックモデルを使用したWHt比と肥満に関連する健診項目(収縮期血圧,拡張期血圧,総コレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,血糖,HbA1c)の検査値との関連,WHt比およびBMIと各検査の要指導・要医療者出現に関するオッズ比について比較検討した。
結果 男女ともに高齢者のWHt比は若中年者よりも大きい傾向にあり,回帰分析およびロジスティックモデルの両面でWHt比0.55が肥満を判定するための1つの値として得られた。男女の血圧および女性の中性脂肪では,WHt比0.55を肥満の判定基準とした場合に有意なオッズ比が認められ,WHt比0.5を基準とした場合に男性の総コレステロールと中性脂肪で有意なオッズ比が認められた。また,男性のHDLコレステロールと女性の総コレステロールでWHt比によるオッズ比がBMIによるオッズ比よりも高かった。女性のHbA1cではBMIで有意なオッズ比が認められた。
結論 高齢者においてWHt比は血圧や血液検査の要指導・要医療の判定に対してBMIよりも敏感に反応しており,高血圧症や高脂血症といった肥満に伴う疾患へのリスク予測指標として優れていることが示唆される。しかし,性別および検査項目によって適切な肥満指標および判定基準は異なるため,WHt比とBMIの併用による保健指導や健康の自己管理が望まれる。
キーワード 高齢者,肥満,ウエスト身長比,BMI

 

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