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第48巻第13号 2001年11月

白血球数が糖尿病の発症に及ぼす影響

-壮年期男子勤労者における検討-
中西 範幸(ナカニシ ノリユキ) 岡本 光明(オカモト ミツハル) 仁科 一江(ニシナ カズエ)
李 文娟(リ ブンケン) 中島 和江(ナカジマ カズエ) 福田 英輝(フクダ ヒデキ)
村上 茂樹(ムラカミ シゲキ) 高鳥毛 敏雄(タカトリゲ トシオ) 多田羅 浩三(タタラ コウゾウ)

目的 白血球数が糖尿病の発症に及ぽす影響を明らかにするため,定期健康診断で測定された白血球数を用いて白血球数と糖尿病の発症との関連について検討した。
方法 1994年5 月に定期健康診断を受診し,空腹時血糖値が1O9mg/dl以ドを示した者で糖尿病と高血圧の治療歴を持たない35~59歳男子事務系勤務者1,300人を観察コーホートに設定し,2000年5月までの6年間における糖尿病の発症を調査した。糖尿病の診断は空腹時血糖値が110~125 mg/dlをIFG(impaired fasting glucose),空腹時血糖値が126mg/dl以上,あるいは糖尿病用剤服薬を2型(インスリンり非依存性)糖尿病とした。
結果 6年間におけるIFG,および2型糖尿病の発症率は25.7/1,000人年であり,2型糖尿病の発症率は10,5/1,000人年であったた。コーホート設定時の年齢,Body mass index,糖尿病の家族歴, 飲酒,運動,収縮期血圧,高比重リポ蛋白コレステロール,トリグリセライド.尿酸,ヘマトクリット,空腹時血糖値を調整したI FG,および2型糖尿病発症のハザード比は,白血球数の増加にともない有意に高値を示したが,喫煙を追加し調整すると白血球数とIFG,および2型糖尿病発症との間には有意な関連をみとめなかった。2型糖尿病発症と白血球数との関連においても同様の結果であった。喫煙状況別にみると,非喫煙者では白血球数の増加にともないIFG,および2型糖尿病発症のハザード比は高値を示し,白血球数が「-~5.39 10^3/mm^3」を1. 0とする 「 5,40~6.19 1O^3/mm^3」, 「6.2~7.39 10^3/mm^3」, 「7,40~ 10^3/mm^3』の調整ハザード比はそれぞれ1.16 [95%信頼区間(CI):0.56-2.41」, 1.68 (95%CI :0,84-3.37)、 2.39 (95%C1:1.14 -5.02)であった(Test for trend:p = 0.015)。一方,喫煙者においては白血球数とIFG,および2型糖尿病発症との間に有意な関連をみとめなかった。
結論 白血球数の増加はIFG,および2型糖尿病の発症と密接な関連を有しており,とくに非喫煙者ではその傾向が顕著であった。
キーワード 白血球数,impaired fasting glucose, 2型糖尿病,壮年期,男子勤労者,コーホート研究

 

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