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第59巻第8号 2012年8月

平均寿命の伸長における年齢階級別の寄与について

奥野 浩(オクノ ヒロシ)

目的 1945年以降の平均寿命の伸長について,年齢構造と経年変化について分析し,今後の指針を探求する糸口とする。この手法を使い,長野,青森,沖縄の男性における平均寿命の伸長の特徴を明らかにする。

方法 「完全生命表」(第9回より第20回)と「都道府県生命表」(1965年から2005年)から,5歳ごとの年齢階級に分けたデータを用いた。新たに定義した「改善余地」および「寄与年数」「区間死亡率」を算出し,分析を行った。

結果 平均寿命の伸長について,1970年までは0~4歳の年齢区分における死亡率の改善が一番大きかったが,1970年以降は60歳以上の死亡率の改善による影響が大きい。長野,青森,沖縄の男性について,0~20歳までは大きな差はないが,成年から差が大きい。全国と比べると,長野の男性は多くの年齢区分で「改善余地」の値が小さい。青森県の男性は,20~65歳の年齢区分ですべての年で全国より「改善余地」の値が大きい。沖縄の男性は,1940年以前に生まれた世代では,全国より「改善余地」の値が小さく,それ以後に生まれた世代では,全国より「改善余地」の値が大きい傾向がある。

結論 平均寿命の延びは,現在では70歳以上の年齢における死亡率の改善によって実現されている。長野,青森,沖縄県の男性の平均寿命の差は,成年の健康環境によるものが大きい。

キーワード 平均寿命,寄与年数,区間死亡率,改善余地

 

論文