メニュー

一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ
  • img01
  • 医療職のための統計セミナー
  • 図説国民衛生の動向2024/2025
  • 国民衛生の動向2024/2025
  • 国民の福祉と介護の動向2024/2025
  • 生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講

第59巻第6号 2012年6月

検疫所職員の職業性ストレスおよび
そのストレス反応に関する研究

中村 奈緒美(ナカムラ ナオミ) 菅原 琢磨(スガハラ タクマ) 大山 卓昭(オオヤマ タカアキ)
岡部 信彦(オカベ ノブヒコ)

目的 国内外の社会状況や世界の感染症流行が年々大きく変化する中,検疫所業務はその変化への迅速な対応が求められる。また,業務には法律や医学など専門的な知識も必要であり,職員への負担はますます多様化していくと考えられる。本研究では検疫所職員が通常の職場生活で感じている職業性ストレスの要因や,そのストレスによって起こりうる精神的,身体的反応について調査し,検疫所職員の職業性ストレス対策を考察することを目的とした。

方法 わが国の全検疫所職員(約860人)を対象に自記式アンケートによる悉皆調査を行った。調査票1では「個人属性」「家族構成」「主に関わっている部門」「勤務年数」「現在所属する職場の環境」に関して質問した。調査票2では労働者のストレス測定のために労働省委託研究のストレス測定研究班により開発された「職業性ストレス簡易調査票」を用いた。これは,ストレスの原因となる因子やストレスによって起こる心身の反応,ストレスへの修飾要因などを評価することができる。調査結果の解析にはMann-Whitney U(MWU)検定,Kruskal Wallis(KW)検定,共分散構造分析(Multiple Indicator Multiple Cause Model:MIMICモデル)を用いた。

結果 回答率は約7割(608人)であり,回答者の属性や職場環境,勤務条件は大きく異なっていた。ストレス状態には「職場の対人関係」をはじめ,「仕事の量的負担」「仕事の質的負担」「仕事のコントロール度の低さ」「仕事の適性度の低さ」のいずれも有意に関連していた。また職場の上司,同僚,配偶者,家族,友人などからのサポートがストレス軽減に関連することが示唆された。

結論 検疫所職員においても職業性ストレスには職場の対人関係などが影響する一方で,職場のみならず家族や友人などのサポートがストレス軽減につながることが明らかになった。検疫所職員のストレス軽減の取り組みとして,職場内での良好な人間関係を構築することが重要であると考えられた。

キーワード 職業性ストレス,ストレッサー,ストレス反応,検疫所職員,職業性ストレス簡易調査票

 

論文