第58巻第2号 2011年2月 乳がん検診に対する態度の測定関 愛子(セキ アイコ) 平井 啓(ヒライ ケイ) 長塚 美和(ナガツカ ミワ)原田 和弘(ハラダ カズヒロ) 荒井 弘和(アライ ヒロカズ) 狭間 礼子(ハザマ アヤコ) 石川 善樹(イシカワ ヨシキ) 濱島 ちさと(ハマシマ チサト) 斎藤 博(サイトウ ヒロシ) 渋谷 大助(シブヤ ダイスケ) |
目的 日本人の乳がん検診に対する態度を測定する尺度を作成し,対象者の心理的特性と受診行動の関連を明らかにすることを目的とした。
方法 40代~50代女性331名を対象にインターネットによる質問紙調査を行い,有効回答の得られた310名(平均年齢48.68±5.82歳,40代155名,50代155名)を対象に分析を行った。
結果 乳がん検診に対する態度を測定する尺度として4因子を抽出し,十分な妥当性および信頼性が確認された。Trans-theoretical Modelに基づく行動変容ステージと本尺度の因子得点の関連を調べた結果,検診を定期的に受診している人ほど「受診前の障害」「重要性の低さ」「受診時の障害」の得点が低く,「主観的規範」の得点が高いことが明らかになった。また,乳がんに対する不安や心配が強い人は受診ステージが高く,乳がん検診の重要性を高く評価していることが示された。
結論 本研究により,40~50代女性の乳がん検診受診行動の実態が一部把握された。本研究で作成した尺度は,受診率向上を目的とした今後の介入研究に向けて,対象者の心理特性を測定するために有用であると考えられる。
キーワード 乳がん検診,Trans-theoretical Model,受診率,マンモグラフィ,行動変容,不安