メニュー

一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ
  • img01
  • 国民衛生の動向2025/2026
  • 国民の福祉と介護の動向2025/2026
  • 図説国民衛生の動向2024/2025
  • 生物統計学の道標 研究デザインから論文報告までをより深く理解するための24講

第52巻第11号 2005年10月

国民生活基礎調査における健康のとらえ方
に関する基礎的検討

-特定高齢者と要支援高齢者の階層的な関係の検証-
橋本 英樹(ハシモト ヒデキ)

目的 公的統計調査における自覚的健康状態の測定方法や,健康状態に影響する社会環境因子の測定法などについて検討を行うとともに,測定結果をもとに計算されうる地域健康指標について内外の事例をもとに実用可能性について考察する。
方法 国 民生活基礎調査健康票と米国・英国などの健康・世帯面関連公的統計質問票について自覚的健康状態などの測定尺度を比較した。内外の大規模疫学調査などで用 いられた実績があり,日本語版の妥当性評価がなされている健康尺度について,その適応・内容・長所短所などを比較した。健康余命をはじめとする地域健康指 標概念についてはMurrayら(2000)の概念整理をもとに分類し,現在入手可能な公的統計を用いた場合の実施可能性などを比較した。
結果 こ れまで内外で用いられてきた5段階の自覚的健康度評点尺度は,死亡率などの予測因子としては意義が認められているものの,事実上2値変数として取り扱われ ることが多く,健康量を連続量的にとらえるには問題がある。また「こころの健康」やストレスの状況についてはこれまで取り扱いが不十分であり,今後,大規 模疫学調査で実績をもつ既存尺度の導入や,測定項目の理論的再整理などが必要である。地域健康指標については様々な指標が試算・発表されてきているが,入 手可能な統計の範囲と指標の解釈可能性を考えると,実施可能性の高い尺度は限られている。地域健康指標を計算する上でも,自覚的健康度の測定は内外の統計 との比較可能性や信頼性・妥当性検証の状況を考慮し,既存の健康尺度の導入を考える必要がある。健康に影響する社会因子として社会的支援や社会関係資本な どの測定項目を加えることについても検討の余地がある。
結論 公 的統計における健康状況の測定尺度については世帯面調査で「健康」「こころの健康」を調査する目的を明確にした上で,比較可能性・妥当性の高い既存尺度か ら選択する必要があると考えられた。各種地域健康指標にもそれぞれ長所短所がみられるため,データ入手の可能性,政策的解釈の実用性などから,選択的・戦 略的に尺度を選ぶことが重要と思われる。また健康の測定方法については内外の統計間の互換性・整合性についても配慮が求められる。
キーワード 自覚的健康,こころの健康,地域健康指標,公的統計,国民生活基礎調査

 

論文